なお

シン・仮面ライダーのなおのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
2.4
「花粉症に負けるな!春のひとり映画祭」ラスト3本目。

昨年公開され話題を呼んだ『シン・ウルトラマン』に続く、日本を代表する特撮作品「仮面ライダー」のリブート作品。

✏️庵野成分
う~~~ん。ごめんなさい。
自分には全くと言っていいほどハマらない作品でした。
評点を見ての通り否定寄りのレビューになるので、本作を好きな方は回れ右してください。

一応、本作のベースともなっている1971年『仮面ライダー』(以下『初代』)とその続編『V3』は全話視聴済み。
「昭和ライダーを全く知らないわけではない」という下地があった状態で鑑賞しても、このストーリー展開、そして”試合運び”にはノれなかった。

本作は『初代』の第1話~第8話に登場する怪人(本作中では<オーグ>という名称)たちがほぼ全員「リブート」された状態で総出演。

仮面ライダー1号こと本郷猛がそのオーグたちを打倒しつつ、悪の組織<SHOCKER>壊滅を目指す…というプロットは言うまでもなく『初代』の流れを踏襲したものである。

この流れ自体は否定すべきではない、というかリブート作品なのでむしろそうあるべきだが、この個性豊かなオーグたちを打倒していく道程そのものがどこか単調であり、今ひとつヒネリがないように感じた。

「孤独なヒーロー・仮面ライダー」を描く上で、この点をあげつらうべきかはかなり迷ったのだが、あまりにも「本郷ひとりで戦いすぎている」ような気がしてならない。

本作のベースである『初代』においても、基本的には本郷が一人で「1号」となって怪人と戦うワケだが、その戦いに至るまでの道中にはおやっさんや滝、そして少年ライダー隊という当時の子どもたちをアツくさせた協力者の存在が必要不可欠であった。

究極的には仮面ライダーとは「孤独なヒーロー」であるかもしれないが、その途中途中には改造人間である本郷を受け入れ、全面的にバックアップする家族のような存在が常に一緒にいた。

個人的に『初代』は、「孤独の対比となる存在」がいたからこそ「孤独なヒーロー」の要素がより際立ったと思っている。

本作は、そのような存在感を放つ人物が終始不在。
「プラーナ」や「オーグ」など、いたずらにSF色を増した世界観の中で「正義のヒーローがただ淡々と怪人を倒していく」だけの作品に映ってならない。

これは昨年公開『シン・ウルトラマン』でいえば、ウルトラマンをサポートする「禍特対」メンバーの活躍が全く描かれないようなものだ。

『シン・ウルトラマン』も初代ウルトラマンの登場怪獣やストーリーをベースにしつつも、ウルトラマンの戦いをサポートする禍特対メンバーの人間ドラマがしっかりと描かれていたので「名リブート」たりえる作品になったと判断している。

世界観や設定、テーマなどが全く別の「ウルトラマン」と「仮面ライダー」を比較することにあまり意味はないということは重々承知している。

だがやはりいくら反芻しても、本作は「仮面ライダーのプロットを借りた外伝的、いやもはや別作品」という評価しか下せない。

✏️オマージュ
と、ここまでほぼ作品全否定みたいな感想だが、良い点ももちろんある。
特に『初代』をオマージュした描写やシーンの数々だ。

まずPG12指定されて当然のゴア描写挟みつつのアクションは上々の出来。
石ノ森先生が描いた「仮面ライダー」の原作漫画も、けっこうグロテスクなシーンが多かった気がする。

「倒された怪人がなぜか泡になって消える」という現象を論理的にそれっぽく解説するシーンとセリフには思わずニヤリ。
1号のヘルメットから本郷の髪の毛がはみ出しているという点、これも『初代』の放送初期のころの1号のビジュアルを再現したもの。

『初代』にて使用されていたBGMや効果音をそのまま流用している点もリブート作品ならでは。

唯一、柄本佑演じた一文字隼人のニヒルな感じへのキャラ改変は個人的には疑問。
好青年を絵に描いたような、カラッとした性格の一文字が好きだったのに。

☑️まとめ
庵野監督と膝を突き合わせて語れるレベルで仮面ライダーの世界観やトリビア的な豆知識を網羅しているマニアか、むしろ逆に仮面ライダーを全く知らない人、もしくは浜辺美波ファンの人が見た方が楽しめそうな作品。

中途半端に昭和~令和の仮面ライダーをかじってる自分にはどこまでも合わない内容でした。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★☆☆
😲驚 き:★★★☆☆
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★☆☆☆☆
🏃‍♂️テンポ:★★☆☆☆

🎬2023年鑑賞数:40(15)
※カッコ内は劇場鑑賞数
なお

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