賛否両論の評価を聞いた上で鑑賞したが個人的には楽しめた。ただ賛否両論なのも分かる。冒頭から怒涛のような台詞の嵐。「昆虫合成型オーグメンテーションプロジェクト」「プラーナ」「エナジー・コンバーター」…。早口で難解な用語が飛び交う。アニメの台詞回しを実写の俳優が言う不自然さ。状況はもちろん心理状態まで全て台詞として説明する過剰さ。映像を持って語る事を良しとする映画の文法としては低評価もやむを得ない。しかし、その台詞の嵐の中に庵野秀明監督の長年の仮面ライダーファンとしての情熱、妄想が込められている。作品の映画としての欠点には情熱が秘められており、美点でもあるのだ。これは映画の構成にも現れている。エピソードを詰め込んだオムニバス感。ブツ切りでバランスの悪い印象を受ける。しかし、そこに数多くの怪人を出したいという情熱が乗っかっている事により、独特のスピード感にも繋がっている。またアクションシーンの昭和の仮面ライダーのツボを押さえた絵作りも流石だ。特にバイクでの疾走シーンは魅力的で見逃せない。好きなものを語るオタクの早口に乗れるかどうかで評価が変わる作品だと感じた。
