ぼさー

シン・仮面ライダーのぼさーのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
2.8
テレビ版 仮面ライダーのおどろおどろしさが踏襲されておらず中途半端な出来だった。ラスボス(森山未來)も長老的な存在ではなく若く美しいし、気味の悪さ成分が全くない。今どきの推し活を意識したようなエンタメフォーマットに当て無理に嵌め過ぎな気がする。

特に蜂女(ハチオーグ)はテレビ版の不気味で気持ち悪い感じがなく、本作では中性的でかっこいいメカアンドロイドといった仕上がりになっていた。昆虫とのハイブリッドとして改造されてしまうことの気持ち悪さや悲哀が表現されていないのは「シン」ではないのでは?と思った。
キャラでは唯一、鉄仮面男のケイが時折り英語混じりの合成音声感があって不気味でよかった。

物語も浜辺美波さん演じるルリ子の目的を達成しようとする内容であり、ルリ子の意思に基づき、ルリ子の思い描いた通りに展開していく。ルリ子はそれを脇役的に振る舞っていれば問題ないのだが、主役的に振る舞って表現されていたので、一貫して本郷猛たちは脇役たる風情だった。

庵野秀明監督作品によく見られる、異形との融合や異形と接点を持つことで人間の性質を炙り出すように描くという構造でもなかった。

とはいえ終始飽きずに観れるのは流石だった。庵野監督はきっと作家性よりもエンタメ的成功を意識していたんだと思った。
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