Morohashi

シン・仮面ライダーのMorohashiのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
4.7
賛否両論あるようですが、僕は好きでした!
役者さんの演技がどれも振り切っていてすごい!
特に長澤まさみと森山未來の演技が素晴らしかった!

そして総じて言えるのは、エヴァンゲリオンが好きな人はきっとこの映画も好きだと思う。
本郷猛=碇シンジ
緑川ルリ子=綾波レイ
一文字隼人=惣流アスカラングレー
ハチオーグ=渚カヲル
といったところか。

他にも様々な小ネタがエヴァンゲリオンを彷彿とさせる描写が多くって、結構幅広い人がこの映画を気に入るんじゃないかと思った!


この映画の「シン」は新ではなくて真や辛の方が解釈が近いと思う。
もともとテレビの仮面ライダーシリーズでは流血や身体欠損(怪我を含む)は禁止されているが、冒頭はびっくりするくらい流血だらけ!

よく考えてみれば、バイクに乗って放浪の旅をするのが好きなくらい孤独が好きな心優しい青年が、その手で簡単に初対面の敵をぶっ殺すわけだから、その戸惑いは相当なはず。
これまでの仮面ライダーは、主人公が正義を貫き悪を倒す…というか、そういうことをやりたくてやっているように見えたが、そりゃ葛藤はあるよねっていうのをきちんと描いている。そしてその心身の壮絶な痛みを、池松壮亮が見事に演じきっている!
設定では仮面ライダーは元いた組織が実は悪の組織だってことに気づいて、脱退し、その古巣を倒そうとしているっていうもの。
そりゃ元いた組織に反旗を翻せば、元同僚を殺すことにもなる。
こればっかりは「お前は悪だ!」っていうシンプルな構図ではなく「目を覚ましてほしい!」「争いを避けたい」っていうのが先にくるのは当然。そこをきちんと描いてて、ものすごくリアリティがある。
ただやっぱり誰かを守るときに生まれる強さってあるよね、と思う。

映画の最初の方に緑川ルリ子が「辛いという字に一本線を足せば幸せになる」と言ってて、なるほどいいこと言ってるな~って思っていたら、終盤まさかの逆を言われて、結果的に辛さと幸せなんて紙一重、っていうか捉え方の問題なのかもっていう事実を不意につきつけられて唖然とした。笑

人間は、苦痛から逃れようとするといろいろなことを画策してしまう。
何かがあったとき、自らの手で世界を変えようとするのか、自らを世界に順応させようとするのか。この違いはかなり大きくって、結果的にこれが悪人か正義の味方かを分けるポイントなんじゃないかと思った。
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