甲越

シン・仮面ライダーの甲越のレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
4.1
文藝春秋5月号に掲載された「シン・仮面ライダーを解剖する」と題した論説が興味深い。筆者の太田啓之記者は原作者である石ノ森章太郎が描いた漫画版仮面ライダーはテレビ版よりもはるかにペシミスティックで、死の香りが漂う作品であり、本郷猛は絶望の中で戦っていたと指摘している。そしてそれは戦後に社会の変革を願っていたにも関わらず大きな力の前に限界を感じてしまった「時代の気分」を表している。その上で、庵野監督がシン・仮面ライダーで描こうとしたのは「人間はどうすれば絶望を乗り越え、幸福になれるのか」というテーマだとしている。とすれば本郷猛が葛藤を乗り越えていくところ、緑川ルリ子が見せる心の変化、さらには一文字隼人の決意は大きな意味があると思う。
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