エレキング

シン・仮面ライダーのエレキングのネタバレレビュー・内容・結末

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

■あらすじ
1971年から放送された石ノ森章太郎原作の『仮面ライダー』シリーズ誕生50周年プロジェクトとして製作されたオリジナル作品。秘密結社SHOCKERと対峙するヒーローたちの姿を描く。脚本・監督は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』などヒット作を手がけた庵野秀明が務める。出演は池松壮亮、浜辺美波、柄本佑、手塚とおる、塚本晋也ら。
『シン・仮面ライダー』は、2023年3月18日に公開された日本の映画。シネバザール制作、庵野秀明脚本・監督による「仮面ライダーシリーズ」のリブート作品である。 仮面ライダー生誕50周年企画作品のひとつ。キャッチコピーは「変わるモノ。変わらないモノ。そして、変えたくないモノ。」

■ネタバレあり感想
YouTubeで予告を見たときから嫌な予感はしていた。
庵野秀明監督作品、実写版『キューティーハニー』の二の舞になるのではないかと危惧していた。

庵野秀明が高校時代に撮ったアマチュアフィルム『ナカムライダー』を周囲が持ち上げているのを見て、天狗になっているんじゃないかと、誰も止められない『トラ!トラ!トラ!』の頃の黒澤明のように、間違いを指摘する人がいなくて、本人も客観性を失っていて、自浄作用がないのではないかと。

白石和彌監督の『仮面ライダーBLACK』も、ところどころ不満の残る出来栄えだったが『シン・仮面ライダー』よりは遥かに出来が良かった。というか、観客を意識していた。

『シン・仮面ライダー』は、庵野秀明のプライベート・フィルムである。

仮面ライダーへの思い入れが強すぎたあまりに、原作をなぞることに終止して、総てが破綻している。

順を追っていこう。

最初の蜘蛛男とショッカー構成員たちと仮面ライダーの戦いは「おっ、いいじゃないか!」と思った。
あまりにも力の強すぎる仮面ライダーが、ショッカー構成員を血まみれにしてぶっ〇していく。
このテイストのまま、ラストまで突っ走れば傑作になったと思う。
異質な、化け物じみた仮面ライダーで良かった。(白石和彌監督版も似たテイストがある)

かつて、Twitterに「ショッカーの目的が世界平和だとしたら、仮面ライダーは悪の存在になって、戦う意義を失って面白いのではないか?」とツイートしたことがある。

実際に、今回のショッカーの目的は「幸福の追求」だった。

しかし、それならば、ショッカーは善であると信じる一般市民たちがショッカーの怪人と仮面ライダーの間に人間の壁となって立ち塞がり、「仮面ライダー帰れ!」と叫んで石を投げるようなシーンがあったら良かったのではないか?

或いは、渋谷や新宿の大型ビジョンにショッカーのマークがデカデカと映し出されて、それが日常と化しているシーンであるとか。

実際には、劇中でそうした描写は一切なく、キューティーハニーそっくりに、ショッカーの怪人を次々と倒していくだけ。

それと、緑川ルリ子(浜辺美波)の説明の台詞が多すぎ。正直、設定とかどうでもいい。

仮面ライダー同士のCGアクションの戦いも興ざめ。

観客置いてけぼり。

ラストの森山未來と、仮面ライダー2人の戦いは、もはやアクションとは呼べず、大学サークルの自主制作映画か、学芸会レベル。

なぜ、こうなってしまったのかというと、初代仮面ライダーの本郷猛(藤岡弘)がスーツアクターも務めていたため、それに倣って。

しかし、武道の心得のある藤岡弘とちがい、アクションの経験のない役者がいきなりアクションを出来る筈もなく。

これが例えば、西島秀俊や綾瀬はるかのようにキレッキレのアクションのできる俳優がスーツアクターを務めるのであれば兎も角、アクション経験のない役者にラストの見せ場のアクションのスーツアクターをやらせるとか、無理がありすぎ。

ニチアサの仮面ライダーのスーツアクターのキレッキレのアクションを見慣れている視聴者にとっては苦痛でしかない。

もはや、スーツアクターまでやらされた池松壮亮、柄本佑、森山未來の3人が可哀想になってくる。

脚本も何が言いたいのかわからず、まったく盛り上がらず。

庵野秀明のシン・シリーズでは、シン・仮面ライダーが一番ダメだった。
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