ポルりん

シン・仮面ライダーのポルりんのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
2.5
【寸評】

YouTubeでの冒頭部分だけで観て、かなり期待したんだけど、コレジャナイ感がハンパない作品だった。
個人的には「シンシリーズ」の中で最も酷い作品だと思う。

【キャラクター】

ほぼ全てのキャラクターに魅力がなく、共感することが出来ない。
というのも、キャラクターのバックボーンを薄っぺらくしか描いておらず、キャラクターを記号的にしか描いていない。
だから、キャラクターが何かしらの悩みやトラウマを抱えていて、それを払拭しようとしたり死んだとしても、こちらとしては記号が消えたようにしか思えないのだ。

特に主人公の本郷猛。
彼に至っては主人公にも関わらず、全く魅力がなく最も記号的に描かれているように思える。
劇中で色々と悩みを抱えるものの、割とすぐに吹っ切れる。
しかもタチの悪いことに、吹っ切る要因を適当にしか描いていないので、鑑賞している方としては何で吹っ切れたのかがまるで分からず、置いてきぼり状態だ。

個人的には、ショッカーから逃げる所から始まるのではなく、わずかでもいいから本郷猛の日常生活を描き、ショッカーに捕獲→改造されるシーンを挿入するだけでまるで印象が違うと思うのだが・・・。


【演出】

所々初代仮面ライダーの要素を取り入れ、かなりのリスペクトは感じることは出来る。
生身のアクションシーンも仮面ライダーのパンチの重みなど、現代風にイイ感じにアレンジされていて、評価出来る部分は多々ある。
だが、ある点がその良さを全てぶち壊している。

そう、CGだ。
あなりにCGの出来が酷すぎる。
特にアクションシーンが酷いのだが、せっかく生身のアクションシーンは重厚感があり素晴らしい演出がされているのに対し、CGになった途端、重厚感が全くなくなり、攻撃がものすごく軽いものになる。
更に粗悪なCGのせいでリアリティーもなくなり、急に現実世界に引き戻される感じだ。
特に1号+2号vs偽ライダー達との戦闘は酷く、ライダーの区別がつきにくく、明かりがほとんどないトンネルで戦闘をするので、本当に何をやってるのかが分からない。(せめてもうちょっと明るい場所で戦えよ)

個人的には、ライダーキックは仕方ないにしても、それ以外はCGを極力使わない戦闘をしてほしかったな。


【設定】

コレジャナイ感が凄い・・・。
特にショッカー首領(?)の正体なんだけど、何かもの凄いチープじゃないか・・・。
オリジナルでは、何だかよく分からない不気味さが良かったのに、その良さが完全に消えてる。


【ストーリー】

これがコレジャナイ感がハンパない。
単純に世界征服を企むショッカーとの闘いを描くだけで良かったのに、どうしてこうなった・・・。
途中から完全に違う方向に進んでいくし・・・。

これまで庵野作品には、哲学的な要素を盛り込まれており、それが作品にいい感じの味付けになってた。
ただ、あくまでそれがメインではなく、分かりやすくとっつきやすいストーリーの中にサブ的要素として盛り込まれていたからいいのであって、決してそれがメインではなかった。
しかし本作では、何故か哲学的な要素がメインになっているので、かなり物語に入りにくくなっている。
今までと同じく王道の話の中に哲学的な要素を入ればよかったのに、どうしてこうなった・・・。

ラストバトルも最初は完全にラスボスに圧倒されていたのに、途中から急に互角になるのも変だ。
主人公が怒りか何かでパワーアップしたり、弱点をついたり奇想天外事をしたり、ラスボスが何かがきっかけで弱くなるなどの展開があるのなら全然理解出来る。
だけど、何のきっかけもないのに急に互角になるのはどうなんだろうか・・・。
違和感がハンパないぞ!!
ポルりん

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