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シン・仮面ライダーのbluebeanのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
3.5
仮面ライダーシリーズについてあまり詳しくないと楽しめないのではないかと心配していましたが、意外と単純に面白く観れました。オタク知識を持っていればオマージュをより楽しめるのでしょうが、それを差っ引いても十分楽しめる作品だと思います。

まずライダーの造形がカッコ良すぎです。ヘルメットはちゃんと金属を精密に加工したような上質感を醸し出していて、スーツの質感もかなり高いです。

オーグ(改造人間)の仕組みや仮面やベルトなどのアイテムなど、いろんな要素にSF的な説明をちゃんとつけているところも面白かったです。なぜマフラーをしているの理由もちゃんとあって、ストーリーに深く絡めています。

原作映像へのオマージュなのでしょうが、流れや動きを無視したぶつ切りの編集は、面白いのと見づらいののぎりぎりの線だと感じました。ライダーとオーグがカットが変わって突然別の場所で対峙していたりしますが、そういう違和感を楽しもうと思えば楽しめないことはないです。

何より最高だったのはローケーションと構図の圧倒的な面白さとかっこよさです。ストーリー上の必然性なしにとにかくカッコ良い風景の場所に俳優を立たせて、写真作品のような完璧の構図を見せてくれます。個人的には、これでもかという夕日のシーンから、唐突に雪山の前に1号2号が立つシーンへ切り替わるエモい構図の連続が笑えました。

庵野監督独特の遠近感を強調しすぎた構図もまた良いです。ポスターにもなっている線路の向こうで主役2人が対峙している絵なんか最高です。ドアップ、広角、遠近感、さまざまなちょっと面白い構図をつなぎ合わせています。正直、多少観づらいと感じることもありますが・・。

ストーリーに感動するまっとうな映画を期待してみるといまいちなのかもしれないですが、面白い要素のつなぎ合わせとして観れば、他の作品にはない楽しさが詰まった良い映画だと思います。
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