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シン・仮面ライダーのオジサンのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
2.0
いきなりですが、まずはじめにごめんなさい。
私はこのシン・仮面ライダーという映画は全編鑑賞してないです。
その理由は何故かと問われたら、答えは単純で“なんじゃこの映画は?”という感想しか浮かばないからです。

まず、本郷猛である仮面ライダーがですねレッツゴーライダーキックのアレンジBGMと共にショッカーのクモオーグとかコウモリオーグとかと戦うわけなんですけど、そこに関しましては、私は平成生まれの昭和オタクの老害なので凄いテンションが上がるわけなんですよね。

なんならば映画公開前に発表されたプロモーションとして仮面ライダーのオープニングを限りなく再現した映像とかの時点で、心の中にまだいる幼い自分がバタバタバタって暴れだしてウォオオオオオって叫び出してたくらいなんですけど。

まあ、一言で断ずるならばこの映画みたいなのは庵野秀明監督じゃなくても全然撮れたんじゃないかなということなんですよね。
もちろんノスタルジーと称されてる部分の話で、です。

この作品が賛否両論というか、公開初日はTwitterとかでブッ叩かれて、後々に好評意見も多くなってきたっていうところがですね、映画の公開初日なんていうのは本当にその作品に興味がある好きな人が押し掛けるみたいなものなのですよ普通は。

そして公開初日に劇場まで行くのは本当に仮面ライダーが大好きで大好きで堪らない仮面ライダーシリーズのファンか、この映画だと庵野秀明監督さんのファン、要するにエヴァンゲリオンファンですよ。

そこで庵野秀明監督は自分の作品にはしたくない、自分をクリエイターにしてくれた仮面ライダーに恩返ししたいってなにかのインタビューで語っていたわけなのです。

そして、原典の1971年の特撮テレビ番組で本家一文字隼人を演じられた佐々木剛さんは、シン・仮面ライダーをこれは俺たちの作品ではないってまたなにかのインタビューで答えられております。

それから、庵野秀明監督の師匠筋に当たるのかな?
スタジオジブリの宮崎駿監督さんは、庵野秀明監督にオリジナルの作品を作れって仰ってるのかな?
違いましたかね?これ独り歩きしてるネタとかじゃなかった筈ですよね?

まあ、とにかく要するに庵野秀明監督のオタクの面が明らかに足を引っ張ってしまったのがこのシン・仮面ライダーなんじゃないかなって思います。

庵野秀明監督の恩返しとしての拘りと称するものが一部の古からの昭和ライダーオタクの心に突き刺さり、溜飲を下げてくれただけの映画。

自分はエヴァンゲリオンをそんなに詳しくないから庵野秀明監督の持ち味、良さというのははっきりとこれだろ!とは言えないのですが、そこを庵野秀明監督御自身のオタク心が勝ってしまい、クリエイターとしての矜持をある意味で簀巻きにして沈めてしまってるんですよ。
そして、その矜持も抵抗することなくブクブクブクってオタク心に身を任せて沈んでいってる様子がなんだか目に浮かんでしまって。

一部の人には刺さるなんて表現は、クリエイターにとっては糞ほどの侮辱だと思います。

そしてたぶん、このシン・仮面ライダーはプロデューサーさえもノリノリだったんでしょうね。
ライダーシリーズのファンなら察するところでしょうけど、仮面ライダー第0号なんてのがねもうですね。

そういうところで、何故わざわざ東映が外部から庵野秀明監督を招いたのかとか、そんなのおそらくですが結構な協議があった筈なのですよ東映内部で、それなのにシン・仮面ライダーは悪いのですが仮面ライダー50周年企画に相応しくないような気がしますね。

当然、庵野秀明監督を起用するということは新規ファンの獲得が一番望ましいところだった筈です。

その新規ファンになりえた庵野秀明監督のファンが、賛否の否を担っちゃったんですよきっと。
それで従来のライダーファンも半分くらいが賛否の否に寄っちゃって、残りの昭和オタクでなんとか支えられてる作品。

庵野秀明監督は、仮面ライダーを間違いなく私物化してしまったのですシン・仮面ライダーで。

1971年の特撮テレビ番組の本郷猛と一文字隼人を見たかったら、そりゃ1971年の特撮テレビ番組仮面ライダーを観た方が私は良いです。

まあ、映画本編をちゃんと全部通して観ていないのでちゃんとした適正な作品としての評価はもちろん下せないのは理解してますけど、庵野秀明監督の現場に対する想いというかも間違えてやしないかと思うところがあって、ドラマの現場って本当にいろんな人が関わってくるんですよね。

カメラマンだとか照明だとかのスタッフだけじゃなくて、役者さん女優さん、そしてその事務所関係の人、ロケするならロケ現場の土地の所有者とか挙げたらキリがないんですけど、アニメの製作現場とは比べ物にならないほどの人が集まってる筈なんですよね。

だからってアニメの方が下なんてことを言いたいわけではなく、アニメの方が専門的な知識だとか技術だとかが必要になってくるんでしょうけど、多くの人間が関わるという点においての難易度は生もののドラマの方が高いと思うんですよね。

そうなってくると現場の人たちはストレスですよ。ましてやロケとかになると天候にも左右されるのでイライラもするでしょうしね。

それをスムーズに円滑にさせるとかならともかく、まあ庵野秀明監督の人となりを批判してるわけでも、どこそこのドキュメンタリー番組を鵜呑みにしてるわけでもないですけど、
仮に現場の総責任者の監督がワケのわからん拘りで足を引っ張るような事があるなら、それは由々しき事態なんじゃないのかなって個人的には思いますね。

これは別になんていうのでしょうか、庵野秀明監督が実写映像作品であまり良い評判を聞かない理由のひとつとしてこうじゃないかなっていうものであって、
現場の人間関係の摩擦だとかすれ違いだとかはあって当然のものなのでしょうが、それが現場監督の傲慢や怠慢からくる何かならヤバイですよねって。

人間って簡単には変われない理由が、変わるということは以前の自分を否定するということだからなんですよね。
だから人間って簡単には変われないんです。
そこにあるのは心の弱さには違いないんでしょうけど、間違いなく傲慢な心や怠慢が自分自身にあるからなんですよ。

この映画のキャッチフレーズじゃないですけど、変わるべきものとして何かあるのではないでしょうかね?と思わざるをえません庵野秀明監督。

でも、このシン・仮面ライダーは仮面ライダーシリーズの歴代一位になってるんですよ興業収入の面で。
だから庵野秀明監督はセンスと人気とかいうのは持ってらっしゃる方なんですよ本来は。

たぶん東映からしみたら歴代一位の売上でも全然良いんでしょうけど、庵野秀明監督作品群としての“シンシリーズ”として見たら、これは庵野秀明監督個人の評価としてゴジラ、エヴァンゲリオン、ウルトラマンから大きくガタッと数字が下がってるわけですね。

ここで庵野秀明監督には悪評というのが付いて回ります。そして、その庵野秀明監督が手掛けた“シン・仮面ライダー”延いては“仮面ライダーシリーズ”を新規ファンになりえた層はどう思うか、ですよね。
やっぱり仮面ライダーってこの程度だろうな、って思われても仕方ないというかなんというか。

プロのクリエイターっていうのは、自分が作りたいもの100%でなくても売れるものを作るのがお仕事ではないでしょうか?と素人の私でも思うわけなのですが、違いますでしょうかね?

なんだかこの映画は原典の特撮テレビ番組の仮面ライダーに大変失礼な作品のように思えて仕方ありません。
しかし、俳優陣が実際にスーツを着てくださって体当たり殺陣をやってらしておられるところに好感は持てるので、星2つですね私からの評価は。

とはいえ、人と見る機会があったら今度はちゃんと観てみますシン・仮面ライダー。
それで意見というか感想が変わればまたレビューし直すかもしれませんし、そういう昭和オタクの老害の一人として思うことでした。
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