Keigo

女と男のいる舗道のKeigoのレビュー・感想・評価

女と男のいる舗道(1962年製作の映画)
4.6
あーあ、やられちゃった。
ゴダール三作品目にして完全に仕留められてもうた。遅かれ早かれ、なんとなくそうなる予感はしていたけれど。

最近は映画の一丁目五番地ぐらいまでは入ってこれたかなーと思うけど、そうすると無邪気にゴダールが好きだなんて言うもんじゃないというのは自分みたいなぺーぺーでもなんとなく分かる気がする。でもしゃあない。だって正直、めちゃくちゃカッコイイもん。大学生ぐらいならまだしも…とかあれこれ考えてたら、ナナと哲学おじさんの会話じゃないけどレビューなんて書けない。言葉に出来ず、黙っちゃう。

映画としての構造とか試みとか、どう優れているかということを言語化しようとしても残念ながら今の自分はその言葉を持ち合わせていないと思う。そもそもそれらを認識出来ているのかも怪しいし。でもそれよりももっと感覚的な、あえて言うなら表面的なところだけで、自分には十分すぎるぐらいの悦びがあった。

モノクロでバチバチに決まった構図、ふとした違和感を残すカメラワーク、そして何より終始画面上に横溢するアンナ・カリーナの魅力。それはもちろんアンナ・カリーナ自身の美しさあってこそだけど、しなやかさも麗しさも健気さも儚さも、何通りもの美しさがこんなにも克明に捉えられているのは、彼女と公私を共にするゴダールの愛情と美的感覚があったからだと思わずにはいられない。

今作はゴダールの中ではわりと分かりやすくて易しい作品だと言われてるみたいだけど、今の自分にはこれくらいがちょうどいい。浅瀬まで来てくれてありがとう!ゴダール!
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