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劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [前編] 君の列車は生存戦略のmegusukeのレビュー・感想・評価

3.3
「脱・自己犠牲の精神」の路線切替は成功するか…?映画。前編は、結末改編を匂わせつつお話のおさらいの巻。

ざっくり(主観交じり)あらすじ
ー1995年、新年初っ端から阪神大震災の、バブル崩壊余波と世紀末論の入り乱れた混沌の時代に、更に影を落とす事件があった…地下鉄サリン事件である。
このお話は、その事件と首謀者の団体を題材にした、事件から16年後、運命論に抗う生存戦略の話であるー。
そこに、SFや変身やらピクトグラム、オルタナティブ・ロックなどでPOPめに仕上げた、幾原邦彦監督の代表作の一つ。
自分的には95年はまだ幼かったが、物凄く暗い年だった事は鮮烈に覚えているし、今でも尾を引く出来事が多いこの年の色を、宗教問題で起こり得る事象の細部(二世問題やらなんやら)も上手く取り込んだ、傑作の部類だと思っている(手放しで称賛するわけではない)。

ただの総集編なら興味ありませんするつもりだったけど、TVアニメ「さらざんまい」で、利他主義な結末癖(思想)から脱却の姿勢を見せた幾原監督が、予告で新キャラ出して来た…?もしかして、再編成するつもりか⁉︎って事で、シンエヴァで恥ずかしいくらい庵野、幾原論を展開した自分が、観ないという選択肢はなかった…。

前作のお決まり、高圧的な眼差しの「きっと何者にもなれないお前達」を「きっと何者かになれるお前達」と変える新キャラ(というとちょっと語弊があるけど)の眼差しの、なんとお優しいことよ。
編集の仕方も丁寧で、TV版でダレ気味だった苹果編を、テンポ良く復習することができた。個人的には映画の方が薦めやすいまである。後、こういう総集編映画って、TV版と映画収録パートで、画や音のバランスが違ってしまい、取ってつけた感が出てしまうことが割とあるけど、この作品は予算もあったのか(クラファン効果凄すぎ)綺麗に調整されていて、世界観に没頭できた。

後編、どんな運命列車の路線旅になるのか、かなり楽しみである。
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