このレビューはネタバレを含みます
ソヌ･･･！！
妹を文字通り死ぬほど愛したお兄ちゃん、どうか安らかに。
とりあえず状況を振り返ってみる。
主要どころはキム(チェ)・スジンとキム・ソヌとイ・ジフンか。
キム・スジンは病室で目覚めた時には全く記憶がなく、夫ジフンを名乗る男に連れ帰られてからというもの奇妙な幻を見るようになる。それは、少女が事故や暴行など悲劇的な状況に巻き込まれる内容だったり、夫を名乗る男がヒトを詰め込んだらしい重そうなスーツケースを引きずっていく内容だったり、さらには夫を名乗る男が本当の夫らしき人物を引きずる内容。自分に何かを隠したままカナダへの移住を急ぐこの男を怪訝に思うようになっていく。
実はスジンが見ていた少女の幻は過去の自分自身の姿で、ガス爆発で親を亡くした時や養子で入った家の父親に絞殺されそうになった時の記憶を思い出していた。スーツケースを運ぶのも、本当の夫らしい人物を引きずるのも、実は夫を名乗る男が自分を守るためにやったことの記憶だった。
キム・ソヌはスジンの夫ジフンを名乗り、記憶のないスジンを病院から連れ帰る。キム家が幼いチェ・スジンを養子縁組で引き取ってから、当時少年だったソヌは妹になったスジンを大切にしてきた。スジンに暴行する父を殺し、スジンが夫のジフンを殺した(と思い込んだ)時はその遺体(と思い込んだもの)を遺棄した。スジンは自らの不幸を代わって背負う兄がこれ以上背負わぬようにと自殺を図り、失敗して記憶を失う。妹が記憶を無くしてからは、彼女が思い出してしまわぬうちに彼女の子供の頃からの夢だったカナダへの移住を急いだ。
イ・ジフンは妻スジンに日常的に暴力を振るっていた。その上親友のソヌと経営していた建設会社が自らの賭博癖のために潰れ、借金取りに追われる身となる。借金取りには妻のスジンを殺した保険金で金を返すよう言われていたが、毒入りの酒で借金取りを殺す。その現場を妻に見られ、揉み合いになった末に鉄パイプで殴られて気絶する。借金取りを沈めたコンクリートに放り込まれるが息を吹き返し、殴ったスジンとコンクリートに放り込んだソヌへの復讐を狙う。
ソヌ兄ちゃんまじで主人公すぎる。『君だけが知らない』ってより、「君だけは知らないままでいい」ってかんじ。
妹を日常的に殴るクソ親父を自分の手で殺して、妹を日常的に殴るクソフレンドを処理して、そんなことを思い出してしまわなくていいように悪役に回ってついにはそのたった一人大切な妹に「ただの人殺し」とまで言われて頬を切りつけられて。
その前だって、なんか知らんけど横断歩道を飛び出してトラックに轢かれそうになるし、病院では存在しない子供を指差して追っかけようとするし、エレベーターから叫んで飛び出してきたと思ったら誰もいない箱の中を指差して7階の706がどうこうとか呟いてるし、警察署内で人殺し呼ばわりするし。
ようそこまで献身的になれたな。海に行った時の「ずっとそばにいる」が沁みるよソヌ兄ちゃん。
ジフンと思われた死体(借金取りのもの)が見つかって逮捕されて取り調べを受け時に、スジンにいろいろ聞かれて「何が幻で何が現実かも分からないだろ」とか「自分が正気だと思うか」とか言ったのどんな気持ちだっただろうな。自分を殺しすぎだろ。
その末ジフンがスジンの膝を砕いて火を放った現場に飛び込んでってスジンを庇ってまじで死んだじゃん。
まあいくらそんなソヌ兄ちゃんでも現に父親を殺してその白骨化死体も挙がっちまったからなあ。脚本上は逮捕されるか死ぬかにならざるを得ないのかな。
死んでしまったらそれはそれで、そこまでしてくれた兄の献身に身も心も生かされた妹がどう思うかを考えると不憫よ。勿論どでかい感謝もあろうけど、同じくらいどでかい申し訳なさもあるだろう。
あとはまあ、クソ夫ジフン(ソヌの守りたい愛と俺の殺したい愛とかいう終わってる比較を述べていた終わってる夫)は十何年か何十年か知らんけどしばらくしたら釈放されるのだろう。そうなったらあの野郎、スジンがカナダに行きたがってたこと知ってるから何をしでかすか心配だな。
ちなみにソヌ兄ちゃん、べつにわざわざ夫を名乗らんでもよかったかなっていう感はある。
兄です家族は僕だけですって言っときゃよかったんでねえか。スジンには夫は僕の友人でもあったけど前に亡くなったって言っとけば免れられた要らん疑念とかあったんじゃないか。少なくともソヌには事実だったし。
あと車道が5車線(すげえと思いました小並)だったり、退院が5月10日だったり、ソヌがスジンを連れ帰った家が1005号室だったり、5とか5の倍数が重要なのかなって思ってたけど全然関係なさそうだったわ。
少なくとも俺は特に何も見出していない。
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【2022/11/13追記】
ジフンが毒入りの酒で借金取りを殺したんじゃなくて、ジフンがスジンを殺すために用意した毒入りの酒を借金取りが勝手に飲んだのか。
「待てと言ったのに」みたいなこと言ってたもんな。
