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東京自転車節のNSのレビュー・感想・評価

東京自転車節(2021年製作の映画)
3.0
映画そのものには人手も金もじつはそれなりに掛けられている様に見え、少なくとも完全な身一つ、カメラ一つなセルフドキュメンタリーなんてものではない。だがそれは、映画を飽くまで「映画」に仕立てたいという願望故のスタイルとも思われるので、まずはいい。
問題と思われる肝心なところは、何故に彼は映画を撮らねばならないのかが見えて来ないし、またそれ故、そこには映画を撮ることでしか見い出せない様なものも見えて来ないということ。
したがって結局は、「今時の27歳の若者が今時の世間の片隅でこういうことを試みれば、確かにこんなものが映るだろう」という、程よく収まりがよい印象にしか辿り着けない。
フィクションとしてもルポルタージュ的なドキュメンタリーとしても半端に見えて、YouTubeやTVバラエティなどのドキュメント企画以上のものには見えて来ない。
どこまでも現在の点景でしかなく、本当の意味での何者かとの遭遇がないのだと思う。

「ノンデライコ」とか「AKIRA」とか「私は元気です」とか、もとアニメファンなのか。よくも悪しくも監督の人懐っこさは、映画の大きな味。
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