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東京自転車節のUniのレビュー・感想・評価

東京自転車節(2021年製作の映画)
3.2
皆んなが経験したコロナ禍で、がむしゃらに生きる一人の人の様子が上手く切り取られている。

主題歌が良くて、タイトルインまでの冒頭はワクワクした。挿入歌やBGMも良かった。
演出や構成がうまくて、長尺のYouTubeチャンネル的なものにならないぎりぎりのところを行っている。2020年の東京も焼け野原とか、コロナ情報ばかりでノイローゼになりそうな頭の中とか、シンプルに素敵な表現をしてる。セルフドキュメンタリーの良さがすごく感じられる。

気になったのが、そもそものところ。
ウーバーのクエストに挑戦しながら、孤独と疲労の中で狂気じみた空気を醸しているシーンは印象的、なんだが、出稼ぎと言って過ごしていて殆どお金が溜まっていないであろうことが明らかで、悲しくなってくる。本当に稼ぐ必要があるならせめてコンビニやファミレスなどで最低賃金が保証された仕事をした方がまだ収入になっていたし、システムを掌握と繰り返すが完全にウーバーのシステムの上で踊らされている人でしかない。そういうそもそものところでのツッコミどころが気になってしまい、演出であってくれと思ってしまう。

監督の孤独感が強く滲む作品だったが、作品を通して誰かに届くかもしれないと思っていることが、その孤独をだいぶ和らげているように思った。
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