このレビューはネタバレを含みます
イギリス映画の雰囲気が好きならきっと好きな作品。
👒👒👒👒👒👒👒👒
アガサ・クリスティが実際に起こした失踪事件をベースに、その間のことは記憶喪失であると処理されたことから、もしかしたらこんなことがあったのかもねと想像で描かれている。
失踪中に事件をひとつ解決してきたのかぁ。
まあ、アーチーに愛人がいたことは事実らしいし、あと、失踪中に滞在していたホテルでは愛人の姓を偽名として使っていたようだから、確かにちょっとミステリーっぽくはある。
(失踪後に離婚したのも本当だけど、アガサはそのあと考古学者と再婚している)
「I love you」
に
「I don't love you」
ってキツいな……。
そのあたりは(おそらく)フィクションながら胸がギュッてなった。
それに、時代背景的に仕方ないのだろうけど、女性の地位や権利が蔑ろにされがちな時代だったのだなと改めて。
ミステリー小説を書き、それで一財産築いているということは、やっぱりそれなりに頭が良い女性であるはずなのに、「いかに有能な女性であっても、ゴルフ場の設計は複雑な作業だから依頼は来ない」と一蹴される。
それってつまり、女性としては有能でも男性には到底敵わないってことよねと💥
離婚を受け入れてもらえず、少し歩み寄ろうとしてみた(油断させようとしたのか?)アーチーが、自分を愛していると言った妻に拒絶されると、途端にイラッとした様子を見せる。自分に非があるのにもかかわらず(不倫)。
そんな中、変装をして自由に振る舞う中で、メイベルを通して自分が持っていた「執着」を見た。
正直、謎解きはミステリーとしてはシンプルで意外性もなかったけど、これはどちらかといえばヒューマンドラマ要素が強い作品だったんじゃないかなと思う。
自分をもう愛していない夫への愛。自分の作品を大事にしてくれない読者への愛。
そういった一方通行の「執着」を手放し、アガサ自身が前に進むための物語のようでした💡
アガサ・クリスティという人のことを、もっと知りたくなる!