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アガサとイシュタルの呪いのtakのレビュー・感想・評価

アガサとイシュタルの呪い(2019年製作の映画)
3.2
1928年、離婚が成立したアガサ・クリスティはイラクに旅行する。その旅先で何があってその後につながっているのかを、前作「殺人の真相」に続いて妄想したドラマ第2弾。2番目の夫となる14歳年下の考古学者マックスとの出会いと、発掘をめぐる事件の謎を共に追う物語になっている。

前作の無鉄砲な行動とは違って、本作のアガサは落ち着きを感じさせる。訪れた発掘現場でマックスが何者かに銃撃され負傷しているのを救う、劇的な出会い。考古学者夫婦を訪ねたら、ペットの猿が首を吊られて死んでいる騒ぎが起きていた。猿を殺したのは誰?アガサは若い頃に身につけた薬学の知識で、猿が毒で死んでいることを突き止める。実は屋敷の誰かが狙われているのでは?と考えた二人。

高圧的な発掘現場の地主、ベッドで激しくイチャイチャする考古学者夫妻、領事とその妻、警備の仕事をする現地の男性、医学の知識を持ちながら雑用係で雇われている女性。それぞれが抱える発掘や英国に持ち去られる品々への複雑な心境、男と女の相関関係が入り乱れる。そんな中で次第に惹かれ始めるアガサとマックスだが、二人の身にも危機が。Filmarksでの微妙な評価と妄想の再現ドラマで甘く見ていたれど、複雑な人間模様と二転三転する展開を僕はけっこう楽しめた。

謎解きの現場に登場人物が一堂に会するクライマックス、毒物に関する描写の数々はクリスティ作品"ぽい"ムードを作っていて好感。そしてその後のクリスティが、別のペンネームであるメアリ・ウェストマコットを名乗って恋愛小説を発表する史実につなげていく。コナン・ドイル宛に電報を打つのは史実なんだろか?そこだけはちと疑問。
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