光好尊

そして、バトンは渡されたの光好尊のネタバレレビュー・内容・結末

そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

人間関係は「船」に似ていて、「ノリが合う」「趣味が合う」「話が合う」、そういう「同じさ」が「同じ船に乗れるか」を左右する。

優子は病気を抱えていたため、水戸と「同じ船」に乗ってブラジルに行けなかった。そして、みぃたんが乗る船にピアノを積むために、金持ちのおっさん、泉ヶ原と結婚する。しかし、泉ヶ原とは「同じさ」がなく、梨花にとっては豪邸暮らしはすぐに「息が詰まる」生活になった。そして次は森宮に船を渡される。

むちゃくちゃな登場人物と裏づけしにくい展開は「補って」観る必要があるが、森宮はみぃたんこと優子の結婚相手の早瀬に(音楽を辞めて料理の道へ、ではなく)「別の船に乗り換えない」人物であることを望んだ。優子が早瀬に魅了されたきっかけは、「ピアノ」すなわち音楽だったことが「同じさ」を左右する。

本作ではあまり描かれないが、人間関係における「同じさ」は、「同じように世界を捉えているか」を左右する。早瀬は音楽をその才能ゆえに強いる母よりも、魅力ゆえに取り憑かれる優子に「同じさ」を感じた。

そして、森宮はそれに納得したことで、バトンが渡された。
光好尊

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