伊達巻

ジャム DJAMの伊達巻のレビュー・感想・評価

ジャム DJAM(2017年製作の映画)
3.7
ミュージック!って叫べば音楽が鳴りだす世界なら、もう少しだけ平和も身近にいてくれたのかもしれない。前に続けて観た『ガッジョ・ディーロ』で冷めやらぬ熱もいい感じに涼んでくる、前作と比べると年月を経てだいぶ落ち着いた作風になっている。ここでも唐突の裸体で一瞬ハッとなる。ベッドの上で楽器(なんだっけあれは)を演奏するシーンが綺麗だった。『ガッジョ・ディーロ』でもそうだったように、理不尽の憎しみと喪失の悲しみの大きさを真ん中に見つめて描く映画で、やはりこちりでも愉しい雰囲気の先には究極的とも言える悲劇の様が映し出されている。前作の感情の起伏が波のようだったとすれば、こちらはむしろなんだか根底にはずっと悲しみの感情があって、それをジャムの歌によって忘却、或いは受け入れ、人生の続きを模索し続けているような、静けさと強かさの雰囲気が漂っているように思った。音楽と自由を禁じたからオシッコをかけてやる、その精神で生きていきたい
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