Wakana

田舎司祭の日記 4Kデジタル・リマスター版のWakanaのレビュー・感想・評価

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「ヨブ記」を読んでいると、たしかにそこには善悪問わず「すべては神の思し召し」のような発想があり、〈個人〉は神の大きな流れのなかの一要素であることが重視されているようだ。ここでもそうで、良心の呵責に苦しみ、この理不尽さをどう解釈するのか、どこに善を見出すのかまさに血を吐く思いで思索をめぐらせていた。

この映画についてはさっぱりわからなかったし暗いし静かでなんなら前半ちょっと寝ちゃったが、この映画を見て、時間をおくうちに新たな学びもあった。今さらながら、超越主義者たちの「個人の直感の中に神的善があるはず」という思想がまじで幸せハッピーでロマンティックな響きがあった、ということ。それなら理不尽なことに悩むこともないもんね。こてこての日記である『ウォールデン』が反体制的なヒッピーたちの必読書だった、というのもようやく腑に落ちるような。
大きな流れに乗るべき司祭が日記みたいな超個人的営みを通して何を得ようとしていたのかは原作読まないとわからないかしら。
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