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メインストリームのkuuのレビュー・感想・評価

メインストリーム(2021年製作の映画)
3.3
『メインストリーム』
原題 Mainstream.
映倫区分 G
製作年 2021年。上映時間 94分。
フランシス・フォード・コッポラの孫ジア・コッポラ監督が『パロアルト・ストーリー』に続いて撮りあげた長編第2作)。
アンドリュー・ガーフィールドのキャラであるリンクを、いとこでもある俳優のニコラス・ケイジに基づいてるそうです.
アンドリュー・ガーフィールドが主演を務め、人気YouTuberへと駆け上がろうとする若者たちの野心と狂気を描く。
フランキー役にNetflixドラマ『ストレンジャー・シングス』のマヤ・ホーク(彼女の実生活では父ちゃんイーサン・ホークに母ちゃんユマ・サーマンで俳優サラブレッド)。

ロサンゼルスで暮らす20代の女性フランキーは、映像作品をYouTubeで公開しながら、寂れたコメディバーで生計を立てていた。
そんなある日、天才的な話術を持つ男性リンクと出会った彼女は、リンクのカリスマ性に魅了され、作家志望の友人ジェイクを巻き込んで、本格的に動画制作を始める。
破天荒でシニカルなリンクの言動を追った動画は注目を集め、リンクは瞬く間に人気YouTuberに。
しかし『いいね!』の媚薬は、いつしかリンクの人格をむしばんでいた。
やがて世界中のネットユーザーから強烈な批判を浴びると、リンクの野心は狂気となって暴走していく。

ジア・コッポラ監督の今作品は、カリスマ的存在である見知らぬ男と動画を作り始めた女子が、ネットでスターダムにのし上がり、その成功に酔いしれながらも、自分たちのアイデンティティを守るために奮闘し、目まぐるしく変化するインターネット時代の中で、風変わりな三角関係を築いていくってもので、間違いなく、今作品には多くの可能性を秘めている。
インターネットと、それに対する最近の文化の反応を探求するとき、多くのことが語られ、意味のあるメッセージが生み出される可能性がある。
そして、それこそが、今作品がやろうとしていることやと思う。
しかし、残念ながらそこで可能性を失っている。もっと大きなことが語られるのならエエんやけど、語られていることはもう何年も前から知られていることばかりで、物語から新しいことは何も得られない。
ただ、導入部は悪くないが、序盤のほとんどは、期待できる設定の上に成り立っているだけ。
3人の主要キャラは皆興味深く、どこかにつながっていく可能性がある。
アンドリュー・ガーフィールドは、嫌味のない役柄で電光石火の活躍を見せていたし、正直なところ、彼のベストパフォーマンスの1つかも。時々、少しレールから外れすぎてたけど、そこがポイントかな。
マヤ・ホークも俳優サラブレッドらしく良かったし、ナット・ウルフも悪くなかった。
ただ、ナット・ウルフは信じられないほど活用されてなかったのは残念。
彼は良きキャラの一人で、物語の中で力強い声を上げています。
もちろん、焦点はガーフィールドの方にあるが。
ジア・コッポラは、ストーリーよりも映像に重きを置いてる。
だから、その点では信じられないほどうまく撮影されており、優れたビジュアルを持ってる。
それがこの映画の一番いいところかもしれない。そして、スコアも良かった。
他の技術的な部分は平坦でない。
編集には、チョイひどい瞬間がいくつかあるのは否めない。
しかし、主にストーリーが残念です。
見ていて楽しいが、重要なはずの筋書きが抜け落ちてて、そのせいで、3幕全体がまったくうまく機能していなと個人的には思いました。
人が極端になることで、他人の人生に悪影響を及ぼすことがある、ちゅうことを云いたいのやろぅけど、それは主に、アレクサ・デミーの短いカメオ出演によってもたらされる。
でも、最後はガーフィールドの視点からちょっと違うことを云うし、真面目にやるべきだったのかなって思います。
起こったことはシリアスやのに、映画はそれを必要以上にシリアスに捉えていない、みたいな感じ。
今作品は、チャンスがあるたびに失敗する。
将来的にカルト的な人気を獲得するのかもしれないし、本当に好きな人はそれなりにいるのも理解できるけど、個人的には可もなく不可もなくかな。
嫌いではないし、楽しませてもらったが、それほど素晴らしい作品やとは思えなかった。
ジア・コッポラはまだ自分の声を見つけられずにいるが、今後の多くの人に認められる作品で可能性はあるんやろな。
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