トールキン

草の響きのトールキンのレビュー・感想・評価

草の響き(2021年製作の映画)
3.9
「winny」を見た流れで東出昌大さんの他の作品であるこちらを鑑賞。なかなか咀嚼や解釈が難しい作品に思えたし、大きな展開も無く淡々と話が進んでいくけど逆にそういった描写や雰囲気が見ていて心地良かった。一つ一つのシーンが日常の風景を切り取ったかのような自然な感じが妙にリアルでそんな作品の世界観に引き込まれていった。

そして、毎回言ってるけど東出昌大さんの役者としての芝居や演技力が個人的に好きだな、と改めて思う。声も何か好きだし役によって声質とかも気だるさ混じりの声質とか微妙に違って聞こえたりする。それらも含めて等身大の自然体な感じがとても好感持てる。
そんな東出昌大さん演じる心の病を患った和雄、奈緒さん演じる和雄を献身的に支える妻の純子、和雄の親友の研二。この3人の夫婦としての、友人としてのやり取りや関係性も自然体で日常的な感じで良かった。特に夫婦としての関係性はやはりパートナー同士であるから見ていてけっこう辛いものがある。終わり方もまた辛い。

自律神経失調症、心の病、不安障害など。決して他人事とも言えないような映画の中だけでなく現代社会でも多くの方々が苦しんでるいるだろう。人付き合いや仕事のストレス、ましてや昨今ではSNS疲れやネットの中傷など理由は様々。治療しても完全に治ることなんてないのかもしれない。そんな自分とどう向き合って生きるか、パートナーはどう寄り添うか、生きていく中でなかなか難しいだろうけど色々考えさせられる。
トールキン

トールキン