にこたま

草の響きのにこたまのネタバレレビュー・内容・結末

草の響き(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

精神の病の人に対する健康な人の十分な理解は、今でも難しいのだろうと思わせられる映画だった。
このドラマの主人公もそうだろうが、結局一番の原因は親の育て方が不味かったし、また病を発症してからも妻や友人の十分な理解もないので、引き金になる出来事が確かにあったが、結局、悪化してしまった。
生活の中で言葉の端々から感じる偏見。また、そんな事本人に言ったら悪化するような嫌味な言葉が本人にぶつけられるわけである。淡々と。
自分が罹らなければ病の事など分からないのは分かるが、人間の在り方、生活のあり方をこうあるべきという固定観念が、病の人や、はたまた自分自身らを傷つけているようにも見えた。
この映画は支える側の家族や友人のリアルな視点もしっかり描かれている。
妻や友人は精一杯理解しようとしている。でも、真の理解はなくて、どうして具合が悪くなったのか分からない、または元気になって欲しい、夫が病み、どうして自分はこんな目に遭うのかと静かに苦しみ怒っている姿が描かれていた。
この映画が特によい映画なのは、そういう様々なメッセージを単なる会話劇で語られるのではなく、淡々と過ごす登場人物の行動や、表情や、静かなやりとりの中で物語を進めているところだ。
それにとても引き込まれた。
とにかくすごくよくできた映画だと思った。
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