さりさり

草の響きのさりさりのレビュー・感想・評価

草の響き(2021年製作の映画)
3.3
朝、気持ち良く目覚めたら「今日は何だか東出くんの気分」と、ちょっと浮いた気持ちになって、気になっていた本作を鑑賞。
いやぁ、東出くん良かったわぁ!

東出昌大の演技をあまり良く言わない人は多いけど、どうしてなんだろう?っていつも思う。
そんなに多くの作品を観ているわけではないけど、私が今まで観た彼の演技は、とても繊細で良かったなぁと感じるものばかりだ。
今回の表情も良かった。
土手で泣き崩れる心を病んだ主人公には、いい意味で鳥肌が立ったな。

ただ、佐藤泰志原作の作品、何本か観ているけど、やっぱり私は好きになれない。
暗い気持ちになってしまう。
今回もずっとモヤ〜っとした気持ちのまま観ていた。
とても繊細で美しい演出はあったし、出演者はみんな好演だったけど、わかりそうでわからない掴みどころがない内容に、退屈さと苛立ちを感じてしまったのだ。

それはきっと、精神的な病を抱える人の気持ちがわかるようでわからない、そんな気持ちに通じているのかもしれない。
わかっているつもりでも、本当の意味で理解出来ていないんだと思う。
菜緒が演じた主人公の妻のように。

自分を抑え、家族のことを理解しようと尽くし支える。
だけど時々限界が来ちゃう。
家族も、そしてもちろん本人も、何かのはずみで突然スイッチが入ったりするから怖い。
心の病みは周りにも影響する。
支えるのは本当に難しいことなんだって思う。

ラストの主人公の表情が良かった。
「草の響き」を体いっぱいに感じたんだろうなって思った。
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