TaichiShiraishi

決戦は日曜日のTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

決戦は日曜日(2022年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

こんなに皮肉の利いた政治ブラックコメディは邦画ではめったにないのではないか。これをこのメジャーキャストでできたことはとても大きな意味があると思う。もっとヒットしてほしいが。

開始数分のあの政治家秘書たちのローテンションな会話と弛緩した空気感は絶妙で、宮沢りえ演じる2世議員が登場してからのやれやれ感も「ありそうだな」と納得させられてしまう。窪田正孝含め、キャスト陣の演技はどれも絶品だし、トーンをうまく統一した演出も見事だ。

必ずしもすべてがリアルなわけではないが、現実を大げさに戯画化、誇張するという意味ではそれもあり。日本の政治の閉そく感を、国民ではなく議員候補とその秘書から描くという観点は大成功だろう。「これまでずっとそうだったから」と前例踏襲に徹してきた秘書が目覚める瞬間や、バカだと思っていた2世がバカゆえにおかしさに気づく展開は、いい飛躍でカタルシスがあった(その後の展開はどうあれ)。

リアルとフィクションのバランスがちょうどよく、こんなことがあればいいなと思うのだが、そう思った後に一国民として政治家に求めていることのレベルが低すぎることに気づいてゾッとさせられてしまった。有権者全員に見てほしい作品。
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