まーしー

決戦は日曜日のまーしーのレビュー・感想・評価

決戦は日曜日(2022年製作の映画)
3.0
このような政治家、本当にいそう——。
知識も常識もなく、親の地盤を引き継いだだけの候補者・有美(宮沢りえ)。
そのような有美の失言や迷言、それによる世間からのバッシングは、政治家の先人たちも通過儀礼としてきたところ。
本作は、このような有美を当選させるべく、選挙活動の舞台裏を描いている。

特に、秘書の谷村(窪田正孝)の奮闘がおもしろい。
あの手この手で、自由奔放な有美の手綱を握ろうとする。
中でも、有美と意思疎通を図るべく、彼女の欠点・改善点を列挙したくだりには笑った。

ただ、本作は、こうした政治家と秘書のドタバタ劇に終始しない。
政治の裏舞台に蔓延る賄賂、秘書に責任を押し付けるトカゲの尻尾切りまで触れている。立候補者の有美が素人だからこそ、そして純粋だからこそ、こうした政治の世界の常識に対して、声を大にして異を唱えることができたのだろう。
現代の政治に対する痛烈な皮肉に思えた。

このように、今の政治をコミカルかつシニカルに描いている点で、全体的にブラックユーモアが漂う。
突出した点はなかったが、チクリと嫌味があって、クスリと笑えることだろう。
その嫌味は、政治家だけに向いているのではない。そのような政治家を選出する我々国民に対しても向けられているような気がする。