blacknessfall

嗚呼!! 花の応援団 役者やのォーのblacknessfallのレビュー・感想・評価

3.0
シリーズ2作目。これは初めて観た。
2作目なんで当然受けた1作目の型を踏襲してる。
どおくまんの原作に添った不条理激烈ギャグドラマ+曽根中生のリリカルでウェットなロマンポルノ。
前半の恐怖のシゴキ合宿でその応援団アナクロ年功序列制裁ギャグが炸裂する。これは1作目のテンションを上回っていて楽しかった笑 シゴキ大好きのOB役のなぎら健壱がいい味を出していた。演技の上手い人だけどこんなバカで狂暴な役もできるのかと感心した笑

でも、おもしろかったのはここまで。本作はロマンポルノパートが気合いが入りすぎ尺も多くギャグ映画なのにしんみりする時間が長すぎた。一回生、北口とストリッパーの恋、北口は応援団を辞めてストリッパーのマネージャー(ヒモ)になり各地を転々とする。
そして、主人公の青田赤道は前作で破局した父親の妾おしんさんへの想いから逃避するためにキャバレーのホステスに岡惚れする。そして弄ばれ大金を取られる。
この二つの恋バナを切なく苦く甘美に描く曽根中生の演出は見事なんだけど、こういうのはあくまで添え物だからスパイスとして光るわけであって肝心のコメディ・パートを殺してまでやられるといくら良く撮れてても邪魔に感じてくるよ笑

それに主人公の赤道の登場時間が少なすぎるのも良くなかった。恐怖の合宿のドタバタにもほとんど絡んでないし、暴れたりバカをやるシーンが少なかった。その代わり、ウジウジで女性のことで悩む時間が多くて、こんな赤道は観たくないよ、、笑

あと、本作が不発だったのは主人公の青田赤道役の人が別人になってたことが大きいと思う。
前作の人より体躯が大きく原作に近いんだけど、ちょんわちょんわ、や、ちゃんちゃこりんよ、ねんのねん、という赤道口調やクエックエーの怪鳥音に切れがなくて笑えないんだよね。照れが入ってるような。
前作の赤道役の今井均さんはオーディションで選ばれたけど、同時に就職も決まっており、会社が特別有給を出してその期間に撮影をした。なので前作で役者を引退することは決まってたから、本作に当たってまたオーディションして井上尚之さんが赤道役に決定したようで。
話は逸れるけど、前作で今井さんに赤道やらせるために会社が特別有給出したってとてもいい話だと思う。それと日本はこの頃の方が心にも金銭にも余裕があったんだと思った。
今なら会社が映画出演のために有給出さないだろうし、この話がネットで流れたりしたら「就職が決まってるの映画のオーディション受けるなんて無責任だ、解雇すべし」的な嫉妬に駆られた投稿の嵐になるよ。行き場のない困窮した10代の女性を支援する機関に言いがかりつけたデマゴーグが熱烈に歓迎され、その支持者達が慈善機関に悪辣な痛罵を投げつけてるような醜い現実があるわけで。金銭感覚もモラルも退廃したさもしい国に成り果てたのねんのねんよ。
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