Ayaka

ひまわりのAyakaのレビュー・感想・評価

ひまわり(1970年製作の映画)
4.0
大好きなお寿司屋さんの大将おすすめ映画。
来店間隔が半年以上空いてしまったにも関わらず、観ました〜!と感想シェアすると数日前の話の続きの様に会話が始まる温かさも好き。(もちろんお料理も、しっかり胃袋を掴まれている)「良かったでしょ!」と、また違う映画をおすすめしてくださった。

戦争によって切り裂かれた夫婦の物語。
大将がよく口にするプロパガンダについては、合作映画だからか気にならず。 
前半の出会ったばかりの2人は、若気の至り満載のバカップルでコミカルな展開が面白い。そして結婚したばかりの幸せな2人が食べる卵24個の大きなオムレツは、目に見えていたオチで笑ってしまったが幸せの象徴だった。
戦争で離れ離れになるなんて、1mmも考えていないであろう若い恋人たちの愚かさが、健気で愛おしくなる。

情景がきれいに映し出されていて、一緒に旅行しているようなリアリティーを感じた。ナポリの海の煌めき、カトリック教会、ミラノ中央駅、蒸気機関車での旅、イタリアとソ連の街並み、ロシア正教会、広場の銅像、ひまわり畑、2人が住んでいた村近くの田舎の駅、どれも美しい。


・特に”駅”がターニングポイントになっているよう。

夫をソ連の激戦区へ見送りに行くシーン
ソ連で夫と久々の再会を果たすシーン
再会した夫婦だけど結局離れることとなり、夫と最後の別れをするシーン

その中でもラストシーンのミラノ中央駅がとても印象に残っている。私としては美しい建築に気持ち高ぶりながら、でも、彼女の悲しみを必死に抑えているあの表情と言葉の無い後ろ姿が忘れられない。

・戦争のせいで引き裂かれた愛、とそれにより、離別したからこそ出会った愛。
戦争のせい、運命のせいだと言ってしまえばそれまで、誰も悪くは無いからこそ、とても辛かった。それでも、現実を受け入れて生きていかなければいけない、時代の厳しさとそれに翻弄された人々の運命の残酷さは痛いくらい刺さった。

・汽車の窓から見えたひまわり畑とエンディングでの地平線まで続くひまわり畑は圧巻。ひまわり畑の下には戦争犠牲者が無数に眠っているというとても哀しい場面でもある。
プーチン大統領は、この映画観ているのだろうか。ひまわり畑のロケ地は現在のウクライナである事実に、ウクライナにかつての日常が戻るようにと祈るばかり。
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