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ひまわりのtackyのレビュー・感想・評価

ひまわり(1970年製作の映画)
4.0
冒頭の画面いっぱいの「ひまわり」のシーンに、かぶさる神様マンシーニの華麗なるテーマ曲。これから名作が始まるという期待感満載のタイトルロールである。

戦争によって、仲睦まじい夫婦の仲が引き裂かれる物語を、名優マストロヤンニと、ソフィア・ローレンの感情豊かな名演と、ネオレアリズモの巨匠、デ・シーカの丁寧な演出によって語られる。

激しい感情剥き出しだが、何処となく可愛らしいソフィア・ローレンが、戦争で帰らない夫を、砂浜で砂金を探すような執念により見つけ出した時の感動、そして驚愕の事実による直後の落胆。

思い詰めたソフィア・ローレンが、ロシアまで夫を探しに行く列車に乗るシーン。
探し当てた夫と、お互いに見つめあっていながら、避けるように列車に飛び乗るシーン。
ラストの好き合っていながら、時すでに遅く、別れなければならない、列車の見送りシーン。
思えば、列車による名シーンにかぶさる重厚なテーマ曲が、三度も繰り広げられる。

タイトルロールの美しいひまわり畑が、イタリア兵のしかばねの上に咲いている事実の残酷さに驚愕した。
タイトルの「ひまわり」には、華やかな中に残酷な現実を踏まえているという事に、改めて思い知らされた。
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