恋愛だけから生まれる切なさ
レビュー1600本目に選んだのは、劇中に登場するひまわり畑のロケ地がウクライナだったことで再び話題になった本作。こんなにも美しい場所が今となっては戦場になってしまったことに遺憾の意と憤怒が湧き出てしまいます。
冒頭、画面いっぱいに広がるひまわり畑。バックからはヘンリー・マンシーニによる美しい旋律が流れ、目も耳も癒される。ハッピーなメロドラマが始まる予感しかない冒頭のシークエンスですが、本作のテーマは「戦争が生んだ慈悲」。前半は幸せそうな日常パートが続き、中盤から登場人物に同情してしまいそうになるほど切ない展開が続く。観るダメージがすごい。
戦争絡みの映画を観終わった後はどれも似た感想を持ってしまうのは仕方ないこと。本作もその一つですが、どうしても"ひまわり畑"の存在感が偉大だと感じてしまいます。決して物語のキーマン的役割を果たすわけではありませんが、あるかないかでは正直評価が変わるかもしれません。どんなに切ない展開になろうとも脳裏にはあの美しいひまわりの姿があるため、心を落ち着かせて観れる。原題も邦題も『ひまわり』なのはそういうことです。
ヘンリー・マンシーニの旋律が冒頭とエンディングで感情の起伏が180度変わるところに注目。
2024.5.5 初鑑賞
