りしゃこ

ひまわりのりしゃこのレビュー・感想・評価

ひまわり(1970年製作の映画)
3.9
2016年のレビューが一言だったので再鑑賞。
冒頭のカップルシーン等々はあんまり意味がなくて「なにを見せられてるんや…?」という気持ちになってしまうのだけれど、観終わる頃には「名作は名作たる理由があるのだなぁ…」と感嘆させられている。

題材が素晴らしい。すごくシンプルなのに深く胸に突き刺さる。底知れぬほど切ない。実際にこんな経験をした人が、きっと想像以上にたくさん、この世界に実在するんだろうな。

やっとの思いで彼の家に辿り着いて、彼と女性の子どもを見たときのジョバンナの表情、列車を降りてきた今の彼を見たジョバンナの表情…。自分が手に入れられなかった彼との幸せを、戦争に引き裂かれ奪われた未来を、目の当たりにした彼女の想いは計り知れない。

そこから過去のバイクに乗る2人の回想シーンが入るのも憎い。街の人たちがみんな注目するような輝いて無敵だった2人。〈あゝ〉

アントニオには「もっと早く帰れたやろ!」とか「めちゃめちゃに心配している母親にも会えよコラ!」とか色々言いたくなるんだけどまぁそこは置いといて…

最後の再会シーンにて、あのときの耳飾りを着けて準備するジョバンナがこれまた切なくいじらしい。結末はこうするしかなかったと思う。ジョバンナは息子の名前を呼ぶたびに彼の残像を思い出すんだろう。運命とはなんとまあ残酷で美しいのか…。