Wakana

セールスマンのWakanaのレビュー・感想・評価

セールスマン(1969年製作の映画)
4.0
とても面白かったがしんどい、資本主義経済と良心の呵責の問題だった。
歴史的にプロテスタントがメインストリームのアメリカで、貧困層のカトリック教徒向けに高額聖書を売るというところがキモ。聖書はある側面ではたしかに精神的豊かさをもたらしてくれるが、その信仰心をエサに、生活が苦しい人へ救いに見せかけた別の何かを押し付けるところ……。狂ってないとできん。そういえば苦悩に満ちたセールスマンのポールもカトリックだというから、この道徳的良心の下地には聖書的な教えがあるはずで、思いのほか深い苦しみがありそうだ。
あとすごいのが、セールスマンの個人的な日常を記録しているだけなのに、きちんと大きな物語が見えてくる監督の技術。
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