みんと

シリアスマンのみんとのレビュー・感想・評価

シリアスマン(2009年製作の映画)
3.8
コーエン兄弟製作・監督・脚本。

敬虔なユダヤ教徒として、妻とふたりの子供と平凡な生活を送っていた(はず)の男に、ある日突然、妻が他の男とデキていたことが判明。そこから彼の不幸の連鎖は止まらない……。

流石に引き込まれるコーエン兄弟監督作品。笑えるけど笑えないエピソードがいちいちぶっ飛んでるけど楽しい。
ユダヤ教の掟やシステムを知らないうえに、ほぼ知らないキャストだけど引き込まれる脚本力は流石!

とにかく不運続きの主人公が不憫でならない。けれど、そこまでの悲壮感を感じさせず、何だったら愛着すら湧くキャラ設定が塩梅を得てる。表情と言い、佇まいと言い絶妙が故の同情心が…。

ユダヤ教の教えを信じてその都度ラビに相談に行くも、結局ラビの助言もあてにならなければ、弁護士も全く頼りにならない。

最終的に、なかなか回りくどいメッセージではあれど、意味深なくだりの散りばめは知的だったりもする。

つまるところ実はシンプル。所詮、神を信じようが信じまいが、なるようにしかならないし悪い事だって起きる時は起きる。
ユダヤ人コミュニティは飽くまでも設定であり箱に過ぎないって事で良いのかな?

不思議な掴みのオープニングと、ポカ~ンとするラストまで、いかにもコーエン兄弟っぽいシニカル・コメディ。面白かった。
みんと

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