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ISOLA 多重人格少女のhoraAyaのレビュー・感想・評価

ISOLA 多重人格少女(2000年製作の映画)
3.2
冒頭ジジイエピソードと本筋とのリンク。ストラングラーツリーと自身とのシンクロが、他者という自己の治療の過程として返ってくるあたりは手堅い。その中で、ゴール地点として設定されているようにしか思えない「孤独」の箱を解き放つかと見せかけて閉ざし、雨を降らせて幕を閉じる…かと思わせてからのそれぞれのあるべき場所を意識した上での「孤独」からの解放は、今では失くしてしまった当時のJホラーの底力を感じさせる。そしてそれがまた冒頭ジジイエピソードへと戻っていく。この頃のJホラーの「死」の扱い方は好き。それは恐怖の対象における時代的な変遷なのだろうけれど、今とは明確に見ている場所が違っているのが改めて面白いなと感じた。ただ、何でもかんでもセリフに起こし劇的な演出を連発する邦画的ダサさは残念。それでも作品としての根幹的思想部分は決して語らないという歪かつ意図的なバランス感覚はこの時代にしか出せない空気感だと思う。それは震災が絡んでいるからというのも勿論あるけれど。原作は10年前くらいに読んだっきりなので読み直したくなった。
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