空海花

サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)の空海花のレビュー・感想・評価

4.5
1969年、ウッドストックの夏
ニューヨーク市マンハッタンのハーレム地区で、“ブラック・ウッドストック”とも呼ばれる音楽フェスティバルがあった。
入場無料。警備はブラックパンサー党(!)
その名は“ハーレム・カルチュラル・フェスティバル”。
監督は、4度のグラミー賞受賞者であり、ヒップホップ・バンド「ザ・ルーツ」のドラマー/DJとして世界的人気を誇るアミール・“クエストラブ”・トンプソン。
サンダンス映画祭オープニング作品
ドキュメンタリー部門審査員大賞と観客賞を受賞。
こちらも“音感上映”にて♪

若かりしスティーヴィー・ワンダーやB.B.キング、ニーナ・シモンなど
ブラック・ミュージックのスターが集結した豪華な祭典。
しかも50年も封印されていたというのだから何と貴重な映像か。
楽しみいっぱいで観に行ったが、
これは単なるライブ映画ではなかった。
ベトナム戦争や
ジョン・F・ケネディ、マルコムX、
ロバート・ケネディ、キング牧師暗殺など当時のニュース映像が差し込まれ
この映像を見た当時の参加者たちの証言も織り交ぜながら、
アメリカ公民権運動の大きなうねりの一つの起点であることを物語るパワフルなドキュメンタリー映画であった。
ニュース映像とライブ、そして繋がれるインタビュー…この構成が上手く、
最初こそスマート過ぎな印象を持ったが、全体を通せばほとんど完璧と言っていいと思った。
ヒップホップのリズム感が為せる技か。神業。

ライブ映像ももちろん素晴らしいもので
スティーヴィー・ワンダーのドラムから始まり
ニーナ・シモンは『ジャニス』で気になっていたので本人を観られて良かった。
フィフス・ディメンションがまた結構良くて、トークも面白かった。
女性メンバーはかわいいし、
タクシーの財布の逸話もびっくり!
「アクエリアス」がまたスピリチュアルな雰囲気でこういう音楽もあったんだと聴き入った。
本人インタビューも感動。
ゴスペルの女王マヘリア・ジャクソンとメイヴィス・ステイプルズのゴスペル二重奏は圧巻で
スライ&ザ・ファミリー・ストーンがめちゃくちゃかっこよかった🤩
彼らの衣装や観客の衣装
こういったカルチャーやファッションも伝わってくる。
そして子どもたちや家族で来ている人も多くて微笑ましかったな。

1969年7/20、それは人類史上初の月面着陸の年でもあった。
映画はそれに対しブーイングの声を映し出す。
それよりも大事なことが今ここにある。

なぜこんなに素晴らしい映像が50年も眠り続けていたのか。
この話は涙なしには見られなかった。
倉庫には夥しい量のフィルムが眠っていた。
最後のインタビュー、
「俺もそう思ったんだよ」
思い出を大切にしまい続けて…

私たちは美しい。

音楽映画に特に関心がない人でも
その文化に関心ある人にはすすめたい。


2021レビュー#176
2021鑑賞No.394/劇場鑑賞#76

最初FOXのテーマだ!と思ったら
製作はサーチライトピクチャーズ
今はDisney傘下ですね。
じゃあこれDisney+でやるの!?
って思ってたら本当にもうやってる😲
パワーアップしたラインナップ…
無料期間あと2ヶ月しかないのにまいったなぁ😅
空海花

空海花