ヒロオさん

サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)のヒロオさんのレビュー・感想・評価

3.7
黒人の歴史の転換点となった音楽イベント、ハーレム・カルチュラル・フェスティバルのドキュメンタリー。

かの有名なウッドストックと同じ1969年の夏に開催されるも、その歴史の影で忘れ去られ、映像も50年間眠ったままだったという。

本作は、実際のライブ映像や、当時の関係者へのインタビューを中心に構成され、イベントの意義について、様々な角度から知ることができる。

黒人の歴史において、1969年という年がどういう年であったか。
64年の公民権法成立により、法の下の平等は実現されるも、差別や経済格差は解消されず、あちこちで暴動が起き続けていた時期。
さらには、65年にマルコムX、68年にキング牧師が暗殺。
そして、ベトナム反戦運動の機運の高まりに伴い、黒人ばかりが戦争の前線に立たされることへの不満も募っていた時期だった。

そんな変革の時に開催されたのが、このイベント。
その裏の目的は、黒人の暴動を防ぐためだったという声もある。
だが一方で、イベントが黒人の間に一体感や原動力を醸成したことに違いはない。
また、貧困や犯罪、差別が日常だった黒人にとっての癒しであり、自己を解放できる場ともなった。

非常にハイコンテクストな作品で理解が十分に追いつかなかったが、黒人の歴史の一端を知れて良かった。

ライブ映像については、ニーナ・シモンとスティービー・ワンダーしか知らない自分には、あまり凄さがわからなかったのが本音ではあった。
しかし、どのパフォーマンスからも魂を感じたし、また、黒人音楽と一口に言っても、ルーツやジャンルが多様であったことが興味深かった。

実は観たのは3ヶ月前。w
ヒロオさん

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