たま

誰かの幸せのたまのレビュー・感想・評価

誰かの幸せ(2020年製作の映画)
4.0
これだからフランス映画が好き。

2組のカップルの、レストランでのなんて事のない会話が延々と続く。
デザートを頼むかどうかで、あーでもないこーでもないと……

この他愛のない会話の中にそれぞれのキャラがしっかりと表現されている。
見ている時はイライラさせられるのに、見終わってみればなーるほどとなる。

ベレニス・ベジョが演じる、アパレル販売員の優柔不断で控えめなレアが小説を書いているという。
恋人も友人もそれを鼻で笑う。

ヴァンサン・カッセル演じる恋人マルクはレアのことを見下し、自分の思い通りにならないと機嫌も悪くなる器の小さな男。

幼なじみのカリーナも友人を仕切り支配するタイプ。レアに負けるはずはないと敵対心を燃やす。

レアは全く変わっていないのに、成功しただけで周りだけがグルグルと変化していく。
なんという皮肉なんだろう。
人間ってそういう生き物なのね。

レアの成功によって、隠されていたものが表面に表れてしまった。

特にカリーナの言動は見ていて不快。とにかく露骨だ。
何も言わなければ隠していると機嫌が悪くなり、言えばひけらかしていると陰で文句を言う。

でもよく考えてみると、自分の中にもカリーヌが存在しているんじゃないかとふと思う。
誰かの幸せは、自分を取るに足らない人間だという妄想に陥らせる。

誰かの幸せを、素直に喜べる人間にならなければ。

いつも個性的な役が多いベレニス・ベジョだけど、こんな可愛らしい役も有りですね。
ヴァンサン・カッセルのいけ好かなさも流石です
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