Nekubo

成れの果てのNekuboのレビュー・感想・評価

成れの果て(2021年製作の映画)
4.0
人間ドラマで魅せるホラー映画とは当にこのこと。但し、昨今よく耳にする…そして安っぽい「本当に怖いのは人間なんですよ〜」を売りにしない、あくまでドラマで魅せる恐怖が、この映画にはある。

ある日、姉が妹に結婚することを告げる。その結婚相手が誰なのかを伝えたところ、妹は過呼吸に陥る。電話越しなのに。…何があったのか?…それから妹が実家暮らしの姉の元へ帰省する。「…帰ってきたんだね。」という昔馴染みの人間に声を掛けられ「帰ってきちゃいけないんですか?私の家だし、勝手ですよね。」と威圧気味に答える妹。この突き刺さるような、居心地の悪い空気は何なのか…。

このピリピリした、どうにも気不味い空気が延々とつづく。

そういう映画って実は少なくないのだけど、この映画のそれが魅力足り得るのは日本人の感性、そして日本人ならではの空気の作り方でなければ成し得ない世界観を演出できているからに他ならない。

とにかく本編約90分、居心地が悪い。

それでも途中で鑑賞をやめようとは思えないのは、妹役の萩原みのりしかり、姉役の柊瑠美の演技力が素晴らしいに尽きるからだ。

何故、妹は姉の婚約報告に過呼吸となったのか?
何故、このタイミングで実家に帰ってきたのか?
何故、妹の態度は高圧的なのか?

気になるなら覗き見してみよう。
きっと"ある魅力"に取り憑かれるはず。
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