北村有

かそけきサンカヨウの北村有のレビュー・感想・評価

かそけきサンカヨウ(2021年製作の映画)
4.0
父(井浦新)と二人で暮らす陽(志田彩良)。家事全般を切り盛りする役のため、志田彩良は私生活でも料理や洗濯を多めにするよう心がけたらしい。表情も所作も丁寧で好感が持てる役者さん。同級生で、同じ美術部所属の陸を演じる鈴鹿央士とは、ドラマ「ドラゴン桜」でも共演している。

母親が出ていったのは、陽が3歳の頃。父親との二人暮らしには慣れていたが、ある日、父の口から再婚することを聞かされた。これまでの穏やかな生活に、新たに加わった母と妹。

この設定だけ見ると不穏な空気を感じるけれど、新たな母・美子役が菊池亜希子なので、めちゃくちゃ親近感がわく。親近感というか、安心感というか……なんだろう。この人なら絶対に意地悪とかしないだろうし、ギクシャクするようなコミュニケーションの取り方はしないだろうっていう信頼感がある。

血の繋がらない親子の関係性の行方、若い恋の行方。さまざまな”淡い気持ち”が漂って溶け合って交換される。「サンカヨウ」の透明さが自然と思い出される、美しい映画だ。
北村有

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