とりにく

かそけきサンカヨウのとりにくのレビュー・感想・評価

かそけきサンカヨウ(2021年製作の映画)
3.9
ずっと揺蕩っていたいような空気感。
静かな半透明の物語の中に、人間と人間が関わることでのぐじゃっとした部分がちらちらする。
あの年頃特有の、単なるエゴを嫌って、周りの人の立場・感情を自分の何かと重ね合わせてこうであってほしいと願う、結局はエゴの、ひどく脆い感情とか。
穏やかで大人に見える陽ちゃんの我の強さと視野の狭さ(決して悪いことじゃない)。自分の世界観を崩さない姿に、陸くんがうっとなってしまう感じとか。

画の色合い、構図含めて、今泉力哉監督は天才だと思った。
主役2人の少し古風で繊細なビジュアルが物語の中で不安定に息づいている。
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