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スリランカの愛と別れのmitakosamaのレビュー・感想・評価

スリランカの愛と別れ(1976年製作の映画)
3.8
スカパーにて。こちらも何の前情報も無くボケーッと見始めたら、とても情緒ある映画でとても見応えがあった。
流石は木下恵介だと感嘆したわ。

内容は、スリランカを舞台とした愛と別れの物語。(タイトルがまんま過ぎて、もう少し捻れよとは思う。)

スリランカの水産工場に赴任して来た青年・越智(北大路)と現地で働く宝石商・井上(栗原小巻)のラブストーリー。
越智の尊敬する国連勤務の夫婦(小林桂樹・島津恵子)と、資産家のジャカランダ婦人(高峰秀子)の影響もあり二人は恋に落ちる。
越智には日本に妻子があるが、井上の為に妻とは別れても子供とは離縁できないと考える。
同じくジャカランダ婦人は別れた夫との間に子供があり疎遠になっているので、子供と同世代の越智に肩入れする。
婦人を思う現地の執事は、婦人の同意の元に心中。越智は婦人の想いと指輪を引き継ぎ、婦人の遺灰を海に撒き、指輪は井上の手に着けられた。

まず、ポエミーな台詞回しに惹かれる。言葉が詩的でとても純文学っぽく品があるよ。
70年代なので北大路欣也もヤクザ映画の全盛期にいただろう。そういう粗暴な作品とは一線を画す繊細な物語に、良い意味でエネルギッシュな役どころを好演している。

その美しく繊細な物語に、まだ発展途上なスリランカの風景がこれまた映える。素朴な街並みと豊かな自然と朴訥で純粋な人たちが奏でる良識ある作品。
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