むぎちゃ

キャメラを止めるな!のむぎちゃのレビュー・感想・評価

キャメラを止めるな!(2022年製作の映画)
3.5
リメイクのような続編のような…これがマトリックスレザリクションズですか?


公開2日後、誰の何を見聞きすることも無く己の嗅覚だけで「絶対観よう」と思いK'sシネマへ足を運んで出会ったカメラを止めるな!。
この出会い方こそ映画鑑賞の醍醐味でもあるし、数少ない映画鑑賞経験の中で更に数少ない自慢でもあるが、その作品があっという間に日本中を駆け巡り、海外リメイクを果たし、その作品がカンヌオープニングに選出されるとは、事実は小説よりも奇なりとはよく言ったものである。

正直この万感の思いを胸に試写会に臨んだので、出だしからちょっともう泣いてました。


とはいえ今作、めちゃくちゃ独特なリメイクではある。
「カメラを止めるな!の劇中作、『one cut of the dead』が日本で大バズりしたからフランスでリメイクしよう!」というストーリー。
文字にするだけでややこしいが、そこから更に正確に言わなければならないのは、「日本の『one cut of the dead』がなんのトラブルもなく成功した世界線」というある意味ifの世界での物語であるということ。
ここが頭に入っていないと、「何で都合よく日本と同じようなトラブルが発生するの?」と戸惑ってしまいそう。

試写後のトークイベントで上田監督も言われていたが、リメイクにあたりインディーズ作品からフランス大チーム制作になったからこそのお金の掛かり方が画面上に目立たなかったのが凄く良かった。あるじゃん?たまにこれみよがしなやつ。

また、これも上田監督談ではあるが、ロケ弁がテーブル席でのフルコースだったエピソードは面白かった。
ま、面白いが、面白いと感じる理由が「日本ではそんなのありえないだろ笑」っていう、今なお日本映画の制作現場の過酷さが浮き彫りになるポイントなのが皮肉だなぁとも。

戻って作品の話。
…をしたいところだが、このキャメ止め、原作のカメ止めにかなり忠実な作りで、ストーリーのきっかけこそオリジナルだがその出だし以降はほぼカメ止めそのまま。ここがある意味見どころではある。
同じ道筋を辿ることで日本とフランスのお国柄やギャグセンスのニュアンスの差が出てて面白い。
明石家さんま大師匠風に言うと「そこもう一回来なアカンわ」みたいなとことか、移民・多人種の国フランスならではの人種ネタとか、オリジナルに忠実だからこそこの辺の違いが良くも悪くも印象に残る。
あとオリジナルのカメ止めのあの安っぽい雰囲気で成立するいざこざも、(←言い方アレだが…)ちゃんと作ると変にシリアスに感じたり。
この辺は逆に初見の方がスっと入り込めそう。

どんぐりさん演じるジャパニーズパールハーバープロデューサー、もうちょいぶっ飛んでて欲しかったなー笑
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