みむさん

ベネデッタのみむさんのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
3.5
面白かった。裁判記録「ルネサンス修道女物語聖と性のミクロストリア」で描かれた17世紀の実在の修道女ベネデッタ・カルリーニの物語とのこと。
ナンスプロイテーションと言うらしい。敬虔な修道女が性欲や暴力に関わったり悪魔に憑かれたりするようなやつ。

惨殺シーンやヌードやセックス、レイプシーンあり、エロと笑いを混ぜこみ、ヴァーホーヴェンらしいといえばらしいかもしれないが、もっと奇抜か突き抜けた映画、もしくはもっと挑発的な映画を想像してので、描写に「らしさ」は見えても全体の印象は想像よりも普通の伝記みたいになってて「へぇー」という感じ。もっと物議を醸す系かと想像してた。

金持ちの子女ベネデッタが修道院に入れられる。修道院に入る希望者は相当いるらしく、ベネデッタの親はなんとか裏金で娘を託す。しかしそこで起こったことは……

ベネデッタが神の幻覚を見たことから彼女の態度が変わっていく。
男性優位の社会、権力を掴んだと信じる女性が奇跡を起こす?それは本当に奇跡なのか?狂信か?狂言か?

信仰心が増幅して狂信になったとしか思えない。それで自分が神のお告げを聞いた崇高な者だと信じてやることなすこと神を利用して突き進む…みたいな。どう観たって悪魔が憑いてる時もあるんだけども。

修道院に助けを求めて逃げてきたバルトロメアとベネデッタの関係も、姉妹のような関係から何度も変わる。姉妹、師弟、友人、レズビアン、敵対…そんな二人の行く末も見所。

厳粛で敬虔な者たちが集まる修道院、そこで罪を犯したと見なされればクライマックスはそりゃそうなりますよねとは思うが、意外な人が意外な目に遭う。

ヴィルジニー・エフィラは以前からよく出演してるのを観たが最近大きな役や話題作への出演が増えてきたような。誰だか忘れたがフランスの監督も「今フランスでは皆が起用したがる女優」と言ってたな。

ランベール・ウィルソンやシャーロット・ランプリングも重要な役で登場。

似ているわけではないが、なんとなく最近観た「セイントモード」を思い出した。