湯っ子

ベネデッタの湯っ子のネタバレレビュー・内容・結末

ベネデッタ(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

肉体は自らの敵になる、賢さは自らに刃を突き立てる、みたいな言葉が、教会にやってきたばかりの幼いベネデッタに向けられる。
まるで、オーロラ姫が100年の眠りの呪いにかけられたように。
だけど、彼女の肉体はどこまでも彼女のものだったし、彼女の賢さは自分と愛する人を守った。
彼女は、6歳の頃にかけられた呪いを跳ね除けたといえる。

教皇の最期のシーンも最高に痛快だったけど、なぜか印象に残るヘンなシーン。
恋人のバルトロメアにおっぱい出させてオナニーして絶頂を迎えると同時に、「おお…神よ!」
ナニコレ?ギャグなの?…だけど、これが意外とベネデッタその人を象徴するシーンのような気がする。
性すなわち生の快楽を完全に自身でコントロールすること、そこに彼女の神は宿る。彼女の神は、彼女の生の中にこそある。
ベネデッタは勝ち取った。生きながらえる権利を。生きること、その中に彼女の神は宿る。たとえ鎖に繋がれても、床に這って食事を取らされても、彼女は生きた。彼女の神とともに。
ベネデッタ。いい根性してて、演技派で、野心も性欲も強い、どえらいヒロインだった。

それから、シャーロット・ランプリングといえば、表情筋のわずかな動きで感情を表現するような演技しか見たことがなかったけど(それが素晴らしいんだけど)、本作では泣いたり叫んだり、大きな芝居を見せてくれていて、それも新鮮でした。


レインウォッチャーさんへ。バーホーヴェンさん(84さい)、さすがですね。まったく、彼のことを女性蔑視なんて言った自称ライターさんは何を見てるんでしょうか?
ご紹介ありがとうございました!
湯っ子

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