バンバンビガロ

ベネデッタのバンバンビガロのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
4.1
修道女ものというのは大体において主人公がつらい思いをする信仰と性道徳をテーマにした重く悲しい話になるというイメージが個人的にあって、なんとなくこの作品もそんな話だと思い込んでいたんだけれどいい意味で予想を裏切られた。
特筆すべきはやはりベネデッタのキャラクター造形で、ある種のトリックスター的存在のようにも見える強力な個性を持っていて物語を終始翻弄し続ける。
一見すると神への狂気的な信仰を持った女性というように見えるのだが、それはむしろ逆で、彼女を駆動するのは自分こそが神から愛されているのだという強烈なナルシズムであり、その自己への愛を高める道具として神や信仰すらも利用しているようにも思える。
ベネデッタの確固たる自己肯定感が序盤のならず者たちと向き合うシーンからぶれることなくラストシーンまで物語を貫いており、それが映画に一種の英雄譚ような趣を与えていてダークで重い話の中にも痛快な清々しさを感じた。
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