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ベネデッタのkazuoのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
4.0
17世紀に同性愛の罪で裁判にかけられた実在の修道女ベネデッタを描いた作品。
公式サイトでヴァーホーベンは、男が支配する時代に才能、幻視、狂言、嘘、創造性で上り詰め権力を手にしたベネデッタの物語の独特な性質に惹かれた、とコメントしているが、まさにその言葉が全てを表している作品。
冒頭の、幼少期のベネデッタが起こす奇跡?とその動じない物腰には、幼少期から既に人を惹きつける魅力を兼ね備えている事が表現されている。
そして様々な嘘が混在していると思われる(作中ではあえて明確にされていない)中で確実に真実と言えるのは、彼女のキリストに対する、花嫁になる願望や妄想も含めた信仰心。クリスチャンだから信仰は当たり前と思われるかもしれないが、他の主要人物は信仰が揺らいでいたり、生きる手段としてなど、どこか不信を感じさせる。対してベネデッタは何があろうとその信仰は確たるもので全くぶれることは無く絶対的である。
そしてそれは善悪は別として、ベネデッタの魅力になっている。

この作品はヴァーホーベンがベネデッタの"魅力"について描いたものなので、故に聖痕など事の真偽を問うのは野暮であろう。
十分にベネデッタの魅力が伝わった良作。
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