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ベネデッタのmakoのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
4.0
《狂言か奇蹟か 信仰か権力か》
◎80点

監督: ポール・ヴァーホーヴェン。
脚本: デヴィッド・バーク、ポール・ヴァーホーヴェン。
原案: ジュディス・C・ブラウン著『ルネサンス修道女物語―聖と性のミクロストリア』。

17世紀に実在した修道女の裁判記録。幼い頃からキリストのビジョンを見続け、聖痕や奇蹟を起こし民衆から崇められた一方、同性愛の罪で裁判にかけられたベネデッタ・カルリーニ。男性が支配する時代に権力を手にした彼女がおこした奇蹟は本物か、はたまた狂言か。

17世紀に実在する修道女が同性愛で裁かれたという記録。当初そちらの方に興味があって観ました。
でも観ているうちに、ベネデッタに起こった事は奇蹟なのか狂言なのかに興味が移りました。
また、信仰か権力か、の方も興味深かったです。


ベネデッタに起きた奇蹟は本物か偽物か、それは本人だけが知っている。
以前、テレビドラマ「ミステリと言う勿れ」の中で、真実はいくつもあるが事実は1つだけ、という台詞があった。
例えば、同じ出来事を体験していたAさんとBさん。同じ体験をしているにも関わらず、各々の受け取り方次第で真実は違って見える事がある。そこには心情も含まれるから。だが、事実は変わらない。

本作もそうだと思った。
ベネデッタに起こった聖痕は嘘か真か。
バルトロメアは嘘だと言ったが、それも本当か定かではない。

人は真実を知りたがり、暴露された事を本当にあった事だと思いがちだが、本当にあった事は当人しか知りえない。
いろんな事象を繋ぎ合わせ真実が作られることもある。

人は、自分が信じたいように物事を見る事がある。
修道院長がまさにその人。
白黒ハッキリさせる事が必ずしも良いこととも思えないし、偽物かもしれないがそれでもいいと言う司教の言い分も分かる。
グレーがあってもいいんじゃない。
不寛容の世の中は生きにくい。

信仰心があったはずなのに、権力を持つと人は変わる。
変わらない人もいるかもしれないけど、そういうのは大なり小なりあるよね。
修道院長の訴えは、妬みや悔しさだけじゃなく、権力を失ったのも大きい。
またベネデッタは、才能、幻視、聖痕(嘘か狂言か)等で修道院長まで上り権力を手に入れた。
教会という聖なる場所でも欺瞞はある。

女性に対する拷問が酷すぎる。
直接な描写はないけど想像させられる描写でエグいなと思った。
本作は女性の裸率が多いので1人で観る事をお勧めします笑
決して家族とは観ないでください🤭

実在したベネデッタが裁判後にどうなったのか知ることができたけど、驚いた!
知りたい方は本作を観てね😊
あと、ペスト流行が描かれていてコロナ禍だった頃と重ねて観ました。その描写、怖かった😱

本作、とても面白かったです♪



日本語字幕: 横井和子
観客 10人くらい
劇場鑑賞 #47
2023 #49
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