ベネデッタが霊感に満たされるときに男の声になって威厳をもって語るところ、見るものを畏怖させる力があった。
マリア像の前で祈っている最中に像が倒れてきて、ベネデッタの上に覆いかぶさったとき、マリアの乳房を口にふくむ場面がエロティックだった。
男の聖職者たちの同性愛は（異性愛も）いまのカトリック教会でも公然の秘密で、最近になって告発されるようになったとはいえ、長い間黙認されてきたのに、女の聖職者どうしの同性愛というだけで、これほどのスキャンダルになるなんて、あまりにも非対称で、同じ同性愛でも男同士と女同士では全然意味が違うのだろうと思う。にもかかわらず、自分のセクシュアリティに正直にふるまうベネデッタの勇敢さが印象的。
石を投げられそうになった売春婦に、あなたの罪は赦されたというイエスと比べて、性的な行動ゆえに火あぶりという教会の態度が、いかにイエスの精神とかけ離れているか。信じるだけで救われるはずの修道院なのに金がなければ入れなかったり、聖痕を受けた女性を広告塔にして人寄せをしようとしたり、キリスト教の腐りきった体たらくがこれでもかというくらい描かれていた。
裸のシーンがちょっと多すぎるような気がして、しかもモザイクが多すぎて興ざめだった。
