吉良吉影

ベネデッタの吉良吉影のネタバレレビュー・内容・結末

ベネデッタ(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

前々から気になっていたヴァーホーヴェン監督の新作『ベネデッタ』がU-NEXTで配信されたので、早速拝見。これは宗教観や倫理的にOUTな国も出てきそう。

時代背景は中世イタリアでペスト大流行/修道院運動が活発。実際にこれらがどのような時代であったのか、見たことなかったので勉強になった。ベネディクトゥスがモンテ=カシノ修道院で「祈り、働け」と伝えていたが、当時もこんな感じだったのだろうか。

宗教という言葉は論理的に考える思考を削ぎ落としてしまう危険性がある。無宗教の立場として側から見たら、ベネデッタが奇行にしか見えない。しかし、文化と宗教の範疇の中で皆がイエスの思し召しと考えてしまい、考えるという行為をやめてしまう。今回はこのような嘘か本当か分からない疑惑が引き金となって事態が発展していた。それがもしも本当であるならば、自分にとってはあまりにもファンタジー過ぎると思うが、当時の人々はそれが当たり前となる前提になっている。この違いは何気に恐ろしい。

大きなテーマが「カトリックの宗教観」×「同性愛」。今でさえ多様性が進んできているが、この時代で同性愛ってかなり異端な存在として見られてしまうのだろうと思った。

懐かしい世界史の知識をこういう形で反芻できるとやはり面白い。だが、映画自体は目を塞ぎたくなるシーンもあり。「勘弁してくれ」となったので高評価はつけ難い。
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