ドナウ

ベネデッタのドナウのネタバレレビュー・内容・結末

ベネデッタ(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ヴァーホーヴェンが同性愛を繰り返し扱うのはキリスト教的な考えへのアンチテーゼなのだろう。マリア像に母性を見出していたベネデッタは神への信仰が成長と共に性欲へ変化し、痛みによって神と結ばれる。教会側や聖職者は俗っぽく、神の身に仕える身でありながら欲に目が眩み、受けた聖痕に疑惑が残るままベネデッタを利用しようとする。しかし、彼女には自演の決定的な証拠は無く、僅かに神の存在は残っているのが面白い。神など信じていなかったであろう教皇や修道院長の臨終に際してベネデッタの神を求める姿は滑稽であると同時に、信仰の本質は困ったときの神頼みだと言っているように思った。幻想に現れたキリストに性器がなかったのは単に同性愛の暗喩なのか、それとも純粋に男根の存在を知らなかったからなのか…いずれにせよ非現実の王国でを思い出した。他には真紅のKKKのような衣装や拷問器具が戦慄の絆のイメージや、ジャンヌ・ダルク、本の中に隠したキーアイテムは薔薇の名前でもあったように思う。

CGを多用しすぎなのか、キレイになりすぎたからなのかわからないけど映像が貧相だったのが残念。ずっと見てなかったクローズドガーデンも見よう。
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