爆裂BOX

ベニー・ラブズ・ユーの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ベニー・ラブズ・ユー(2019年製作の映画)
3.9
玩具デザイナーのジャックは事故で両親を失う。仕事でも失敗し、お金に困ったジャックは家を売ることを決意。家を片付ける中で、子供の頃に大切にしていたぬいぐるみベニーを捨ててしまう…というストーリー。
殺人鬼だけれど一途なぬいぐるみベニーが巻き起こす惨劇を描いたホラーコメディです。
捨てたはずのベニーが命をもって動き出し、大好きなジャックの嫌いな人間やジャックが好意を持つ人間を次々殺していくという内容です。
癇癪起こしてワガママいい邦題なクソガキが母親にぶん殴られて、棄てたティデベアに目をくり貫かれる冒頭の掴みは充分ですね。そこからの主人公ジャックの両親がジャックの誕生日に「ファイナル・デスティネーション」みたいな事故で死ぬところまでテンポよいです。35になっても両親と同居して部屋も子供のままのジャックの暮らしぶりは何だか他人事に思えず身につまされます(笑)両親の死と仕事での降格で嫌でも独り立ちしなきゃいけなくなって子供の頃の思い出の玩具棄てようと決意する所もなんか切ない。
ジャックの子供時代からの一番の親友であり、棄てられそうになって命が宿り動き出すベニーは、一応テディベアのようですが、見た目的には「セサミストリート」のエルモに見えますね。とにかくジャック大好きでジャックが自分以外を好きになるのが許せないリメイク「チャイルド・プレイ」のチャッキーや「ミーガン」以上のヤンデレで、動き出してさっそく他のティデベアバラバラにしたりしますし、少しでもジャックが好意窺わせるような言葉言った相手標的になりますし。でも、声や見た目や移動するときのピョコピョコした動きも可愛いですし、「ベニーはジャックを愛してる」「抱っこして」という台詞も可愛さしかない。でも、ジャックが嫌いな人間や、家に近づいたりした人間殺すのにまるで躊躇ないサイコパスっぷりもいいですね。素早いし殺傷能力もかなり高いです。後半のオフィスの人間大虐殺していく所は中々の見物でした。
ゴア描写もモツ出しの死体や生首等軽いCGやチープさもありながらも頑張ってたと思います。トースターから指が飛び出したり、掃除機で内臓吸い出したりブラックなユーモア絡ませてるのもいいアクセントになっていたと思います。後、犬や猫にも容赦ないので動物好きは要注意。特に社長の愛犬のパグの扱い酷すぎ。ぬいぐるみ丸出しだからまだ良かったけど。
監督自ら演じる主人公ジャックが、ベニーが殺した死体の後始末に四苦八苦する所はブラックユーモア満ちてて良かったですし、ベニーが現れたことで新しいおもちゃのアイディア浮かんで仕事も上手くいってヒロインとの関係も進んでいく所はBGMも相まって凄く楽しそうで良かったです。殺人繰り返すベニーに限界来て、チェーンソーもって家に入ったら誕生日祝う為料理作って待ってて、ジャックが「ああもう…」みたいなリアクションする所も良いですね。
ベニーとの戦いに備えて、ヒロインと嫌味な同僚と家でトラップ作成する所はテンション上がりましたし、ジャック自作の小型ロボとバトル繰り広げる所はベニーがマトリックスみたいなアクション見せて結構手に汗握らされました。三者三様で命持った呪いの人形(玩具)に襲われる展開もちょっと予想外で楽しめました。ベニーはあの話聞いてすぐネットオークションで手に入れたのか。行動早すぎない?(笑)命持ったロボットとは共闘するかと思ったら普通に戦いだしたので別に味方ってわけじゃないのね。
最後の決着は少し切なさもあるものでしたね。ちょっと楳図かずおの「ねがい」のモクメとの別れ思い出しちゃいましたよ。あの警官コンビは役立たずで殺され要員かと思ったら、一応最後は役に立ったのかな?しかし、嫌な奴だったとはいえあの同僚全ての罪押し付けられるの可哀想すぎない?(笑)
適度なゴア描写やブラックなユーモア、ベニーの可愛さなど「パペットマスター」等と同じくらい楽しめたホラーコメディでした。